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2023.08.17

バレエ『眠れる森の美女』そして今シーズンと来シーズンを解説します

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森菜穂美氏(舞踊評論家)

ロイヤル・バレエの2022-23シーズン総括と来シーズンへの展望

―2022-23 ロイヤル・オペラハウス シネマシーズンを振り返るー
ロイヤル・バレエの2022/23シーズンは、ウィリアム・ブレイスウェルとリース・クラークがプリンシパルに昇進し、ますますダンサー陣が充実した中で始まった。

シネマシーズンの開幕を飾ったのは、ケネス・マクミラン振付の『うたかたの恋―マイヤリング―』。ロイヤル・バレエを代表する演技派ダンサーとして高い評価を得ている平野亮一が、愛欲に溺れ、権力闘争に疲弊し、そして求めても得られない母の愛に飢えたハプスブルグ家の皇太子ルドルフ役を熱演。共演はナタリア・オシポワ、マリアネラ・ヌニェス、ラウラ・モレ―ラ、フランチェスカ・ヘイワードと綺羅星のような女性プリンシパルたちで、愛と死の濃厚なドラマを繰り広げて大きな話題を呼び、日本でもアンコール上映されるなどヒットした。

ロイヤル・バレエの歴史と現在を象徴させる意欲的なプログラム『ダイヤモンド・セレブレーション』も話題となった。ロイヤル・バレエのフレンズ会創立60周年記念公演である。ロイヤル・バレエを設立したニネット・ド・ヴァロワの言葉”過去を尊び、未来を見据え、現在に集中すること“は今のロイヤル・バレエでも重視されていること。すなわち、バレエ団の伝統を受け継ぐ作品を大切にしながら、新しい作品も創造し、高いクオリティのパフォーマンスを行うことである。
ロイヤル・バレエを代表する巨匠フレデリック・アシュトンとケネス・マクミランの作品。現在の常任振付家であるウェイン・マクレガーのコンテンポラリー作品と、クリストファー・ウィールドンが4人の男性ダンサーのために創った「FOR FOUR」。対をなすように現役ファースト・ソリストのヴァレンティノ・ズケッティが4人のプリマ・バレリーナのために創った新作「プリマ」。育成プログラム出身の若い振付家による新作や、モダンダンス、ヒップホップなど異ジャンルの振付家の作品も取り入れた新作も挟み、締めくくりはバランシンのクラシカルな名作「ジュエルズ」より「ダイヤモンド」。
『ダイヤモンド・セレブレーション』で上演された「FOR FOUR」、「プリマ」、「ダイヤモンド」は、今年6月に行われたロイヤル・バレエの来日公演「ロイヤル・セレブレーション」でも上演され、来日公演の予習としても見逃せないプログラムとなった。

ロンドンの冬の風物詩『くるみ割り人形』はほぼ毎年、ロイヤル・バレエでは上演されている大人気作品。2022-23シーズンでは、金子扶生が新プリンシパルのウィリアム・ブレイスウェルと共演して金平糖の精を優雅に踊り、クララ役には若手の前田紗江が配役されて、伸びやかで生き生きとした踊りを見せた。『くるみ割り人形』はシネマシーズンでも特に人気のある演目で、主役の金平糖の精はもちろんだが、クララやハンス・ピーター役には、これからプリンシパルに上がっていく注目の若手ダンサーが抜擢されることが多くて、注目されている。

映画化されたベストセラー小説『赤い薔薇ソースの伝説』のバレエ化も話題を呼んだ。『不思議の国のアリス』『冬物語』で成功を収めたクリストファー・ウィールドンが、メキシコを舞台にした禁断の愛と食べ物を主題にした大河ドラマを鮮やかな手腕で新作バレエ作品として創作した。メキシコ音楽や伝統文化を取り入れた官能的な本作は、新しいドラマティック・バレエの名作と高く評価され、アメリカン・バレエ・シアターでも上演された。フランチェスカ・ヘイワード演じる情熱的なティタ、そして強烈な毒母エレナ役ラウラ・モレ―ラの怪演ぶりや、颯爽と場をさらっていくセザール・コラレスの華麗なダンスも忘れがたい。今シーズンで惜しまれながら引退したラウラ・モレ―ラの名女優ぶりは、本作と『うたかたの恋―マイヤリング―』で堪能できた。

舞台装置や衣装などを一新した名作『シンデレラ』の新制作は、今季大ヒットした一作だった。名匠フレデリック・アシュトン振付の本作は、長年幅広い観客に愛され、清らかな心を持つシンデレラが幸せをつかむおとぎ話であるとともに、コミカルな義理の姉妹たちが巻き起こす騒動も楽しくて、憂き世を忘れる爽やかでしみじみとした余韻が残る名作である。ファンタジックな美術を手掛けたのは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの「となりのトトロ」の舞台美術でローレンス・オリヴィエ賞に輝いたトム・パイ。ロイヤル・バレエばかりかバレエ界を代表するスーパースター・ペアのマリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフの名演もあり、高い人気を呼んだ。アクリ瑠嘉が女装して義理の姉妹役に挑み、中尾太亮の軽やかでチャーミングな道化役の超絶技巧も印象深かった。

そしてシーズンを締めくくったのは、第二次世界大戦後にロイヤル・オペラハウスの再開を果たした作品という、ロイヤル・バレエの歴史にとっても重要な古典の名作「眠れる森の美女」。チャイコフスキーがマリウス・プティパと密接に作業して作り上げたこの上なく美しく華麗な旋律によるグランド・バレエの代表的な作品だ。フランス宮廷を再現した壮麗な舞台美術、多数の出演者を要する大作。またオーロラ姫を踊るダンサーにとっては、16歳の初々しい姫から、幻影の場面での抒情性、そして結婚式で見せる品格と優雅さまで、プリマ・バレリーナに求められる様々な魅力を発揮させる大役である。オーロラ役のヤスミン・ナグディの完璧な技術とエレガントな踊り、王子役マシュー・ボールの貴公子ぶり、注目株イザベラ・ガスパリーニやジョセフ・シセンズの目も覚めるような青い鳥のパ・ド・ドゥなど、クラシック・バレエの魅力があふれる魅惑の舞台である。おりしも、今年の秋は日本のバレエ団による『眠れる森の美女』公演が多く行われ、コロナ禍で眠っていた劇場の目覚めも象徴させているかのようだ。

2023-24シーズンの展望
ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン2023-24は、ロイヤル・バレエのレパートリーの中から選りすぐった人気4作品がラインナップされている。

幕開けは『ドン・キホーテ』、バレエを観るのが初めての方でも楽しめる、スペインを舞台にした陽気なコメディ作品で、たくさんの超絶技巧も詰め込まれています。高い技術を誇るマヤラ・マグリがキトリ役、『眠れる森の美女』では王子役を演じたマシュー・ボールは、庶民的な床屋のバジル役を演じてまったく違った魅力を見せてくれるはず。

クリスマスはこの作品なしでは考えられない『くるみ割り人形』は来シーズンも上演、ロイヤル・バレエのピーター・ライト版は幾多の「くるみ」の中でも物語性が高く、夢と冒険が詰まったファンタジックな世界は、幅広い年齢層に大人気だ。若手プリンシパルのアナ・ローズ・オサリヴァン、マルセリーノ・サンベがフレッシュな魅力で金平糖の精と王子を演じる予定。

ロイヤル・バレエは演劇の国英国ならではのドラマティック・バレエがお家芸。その中でも最高傑作の『マノン』は、パリの裏社交界を舞台にした甘美で退廃的な世界観、究極の愛の姿を見せる。深く心に残る作品であり、根強い人気を誇る。

シーズンを締めくくる『白鳥の湖』は言わずと知れたバレエの代名詞。世界トップクラスのダンサーたちが、チャイコフスキーのあまりにも美しく心を揺さぶる旋律に乗せて、圧巻のドラマに浸りたい。ロイヤル・バレエ版は夭折の天才振付家リアム・スカーレット振付による陰影に富んでドラマチックな「白鳥の湖」だ

この4作品を観れば、ロイヤル・バレエがなぜこんなにも世界的に大人気なのかが実感できる。幕間の解説や出演者へのインタビュー、そして舞台裏の映像で作品への理解も深まり、心揺さぶり胸弾む美しきバレエの世界のとりこになるはず。

また世界的なスーパースターだけでなく、ロイヤル・バレエで活躍する日本人ダンサーたちの踊りや演技も観られるのも、このシネマシーズンの楽しみの一つ。2023-24シーズンでは、前田紗江、中尾太亮がソリストに、五十嵐大地がファースト・アーティストに昇進し、来シーズンは頻繁にスクリーンで出会えるはずだ。高田茜、平野亮一、金子扶生と日本出身プリンシパルの活躍ももちろん期待できる。

近年、若手ダンサーの登竜門であるローザンヌ国際バレエコンクールの上位入賞者の多くは、ロイヤル・バレエスクールのスカラシップを獲得したり、研修生としてロイヤル・バレエに入団したりしており、ローザンヌ出身の新星が頭角を現すことも期待されている。

ロイヤル・バレエの魅力とは
今年6月に開催されたロイヤル・バレエの来日公演では、『ロミオとジュリエット』8公演が毎回違う、8組のダンサーが主演で上演され、ほとんどの公演がソールドアウトとなるなど、ロイヤル・バレエ旋風が日本を吹き荒れた。ロイヤル・バレエの過去と現在、未来を見せる「ロイヤル・セレブレーション」も高く評価された。演劇的バレエなどの伝統を大切にしながらも、果敢に新しい作品に取り組み、さらに世界トップクラスのスターダンサーたちが魅せる。ロイヤル・バレエの大きな強みは、国籍や肌の色に関わらず、優れたダンサーたちをどんどん起用することであり、そのため日本人ダンサーたちの活躍も実現しているのである。

また、リハーサルやクラスレッスンのネット中継などの配信事業、世界中のバレエ団がオンラインで生中継を行う恒例の「ワールド・バレエ・デー」(今年は11月1日を予定)の主催、そして本ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン」による映画館での上映、アウトリーチ活動と、ロイヤル・バレエはバレエを世界中の幅広い人々に広めるのに大きな役割を果たしている。映画館でロイヤル・バレエを観て、ロイヤル・オペラハウスでのロイヤル・バレエの舞台が大画面で観られる幸せをぜひ感じてほしい。

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2023.07.03

ロイヤル・オペラ『フィガロの結婚』タイムテーブルのご案内

 

これぞモーツァルト!これぞ《フィガロの結婚》!
イギリスを代表する演出家マクヴィカーと、円熟を極めるパッパーノの指揮で贈る至高の舞台。

2006年に英国ロイヤル・オペラで初演されたこのプロダクションは、数ある《フィガロの結婚》の舞台の中でも「決定版!」と言われ大評判となったもの。何度も再演を重ねてきた。しかし今回は、台本を自然に表現できる若手イタリア人を中心とした理想的キャストが実現。中でも気品ある美声と抜群の歌唱力で観客の熱狂的な拍手を受ける伯爵夫人役のロンバルディは最大の聴きどころだ。また、アルカンタラが演じるアルマヴィーヴァ伯爵も超わがままな演技がリアルで面白い。再演にも関わらずマクヴィカー自身が細かいところまで演出をつけ、モーツァルトを知り尽くしたパッパーノがアンサンブルの細部まで鮮やかに指揮をする。劇場が誇る合唱団と俳優たちの演技も必見。
(上演日:2023年4月27日)


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【音楽】:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
【台本】:ロレンツォ・ダ・ポンテ(原作:ピエール=オーギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェの戯曲 『狂おしき一日、またはフィガロの結婚』)
【指揮】:アントニオ・パッパーノ
【演出】:ディヴィッド・マクヴィカー

【出演】
フィガロ:リッカルド・ファッシ、
スザンナ:ジュリア・セメンツァート、
バルトロ:ヘンリー・ウォディントン、
マルチェッリーナ:モニカ・バチェッリ、
ケルビーノ:ハンナ・ヒップ、
アルマヴィーヴァ伯爵:ヘルマン・E・アルカンタラ
ドン・バリージオ:グレゴリー・ボンファッティ、
アルマヴィーヴァ伯爵夫人:フェデリカ・ロンバルディ
アントニオ:ジェレミー・ホワイト、
ドン・クルツィオ:アラスデア・エリオット、
バルバリーナ:ヘレン・ウィザース

2023.06.30

オペラ『フィガロの結婚』を初心者でもわかりやすく解説します

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家田 淳(演出家・翻訳家 洗足学園音楽大学准教授)

「フィガロの結婚」の理想形

 マクヴィカー演出「フィガロの結婚」は、この作品を安心して楽しめる王道のプロダクション。美術・照明・衣裳がきわめて美しく、大きな窓から取り込んだ明かりが、一日の時間経過を表しつつ、一瞬一瞬を絵画のように照らし出す。
 今回の再演の歌手の顔ぶれは若く、人物たちの実年齢に近くて、演技も達者。バロックからモーツァルトのレパートリーに定評のあるチャーミングなスザンナ役ジュリア・セメンツァートを初めとして、フィガロ役のリカルド・ファッシ、伯爵夫人役のフェデリカ・ロンバルディ、憎めない伯爵役のヘルマン・アルカンタラなど、それぞれ役にピッタリで魅力的だ。

 しかも今回はマクヴィカー自身が再演演出を手がけているため、芝居がよりイキイキと立ち上がっている。
 オペラハウスでは通常、プロダクションが再演される場合、オリジナルの演出家が稽古をすることは滅多になく、劇場付きの再演演出家が担当するのが一般的である。非常に短い稽古時間で仕上げることも多く、劇場によってはいかにもおざなりな演技を見さされることもある。その点、ロイヤル・オペラ・ハウスは再演でも作品のクオリティに目をくばり、稽古にしっかり時間をかける。特に「フィガロの結婚」のように演劇並みに緻密な芝居を要求されるアンサンブルオペラでは、これはとても大事なことだ。

 指揮者パッパーノ自身がフォルテピアノでレチタティーヴォ・セッコの伴奏をしていることも、聴きどころのひとつ。
 パッパーノとマクヴィカーは相性が良いようで、インタビュー中、パッパーノは「私たちはどちらが指揮者でどちらが演出家とも言えない関係性だよね」と言っている。指揮者と演出家の作品に対するビジョンが必ずしも一致しない場合も多い中、音楽・演技の表現が完全に融合した舞台は、オペラの理想的な形と言える。

18世紀の#MeTooオペラ

 さて、「フィガロの結婚」というモーツァルトの代表作品について改めて考えてみると、その新しさに驚かされる。賢い女性たちが手を組んで、セクハラ親父を懲らしめる物語。これは18世紀の#MeTooオペラだ。
 
 作品の中で、機知の点では常に女性の方が男性の先をいっている。
 フィガロは一見、婚約者スザンナを守るために上司の伯爵に果敢に立ち向かうヒーローだが、実は作品中、フィガロの計画はほぼどれも失敗に終わる。彼だけではなく、スザンナに言い寄る浮気性の伯爵や、伯爵夫人に恋する小姓ケルビーノもしかりで、男たちはヘマばかりしている。状況を救うのはスザンナであり、伯爵夫人であり、スザンナの恋敵マルチェリーナ、スザンナの従姉妹バルバリーナといった女性陣なのだ。

 幕前映像の中で指揮者パッパーノが語っているように、これはフェミニストオペラなのである。こんなオペラはモーツァルト以前には存在しなかった。
 このオペラには伯爵から、医者、召使、庭師・農民まで、あらゆる階層の人間が登場する。それぞれに性格描写が細かく人間味をもって描かれており、しかも中心にいるのは貴族ではなく召使のフィガロとスザンナである。完全な身分社会だったフランス革命前のヨーロッパにおいて、ここまで平民が中心になって活躍するオペラを作った人もモーツァルト以前にはいなかった。
 音楽的にも、全役の中で一番低い音を歌うのがフィガロで、一番高い音を歌うのがスザンナ。それ以外の人物たちは彼らの間にはさまれている形になっているという、小憎い仕掛けだ。伯爵夫人とスザンナには声が完璧に溶け合う手紙の二重唱を歌わせ、音楽によって身分の差を消している。
 つまりモーツァルトは多様性の作曲家でもあった。240年近く前に、現在の私たちの社会に吹いている旋風を先取りしていたとは、改めてモーツァルトの慧眼に感服する。

ディテールが光る舞台

 この演出では、設定が18世紀後半スペインから19世紀前半のフランスのシャトーに設定が移されている。視覚的にはそれほど変わりがないように見えるが、18世紀後半と19世紀前半では、フランス革命の前と後であるという違いが大きい。
 シャトーでは従者たちがのびのびと気兼ねなく振る舞い、常にあちこちに登場して、伯爵夫妻の様子を観察している。
 それでいて、室内の調度品はルイ16世様式で統一されている。世の中は平等になったのに、シャトーのオーナーである伯爵だけはいまだに革命前の世界に閉じこもっていると言いたいかのよう。
 そんな演出家のこだわりにも注目すると、いろいろな発見がある舞台だ。

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2023.06.21

ロイヤル・バレエ来日公演&「シンデレラ」公開記念トークショーを開催決定!

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン
ロイヤル・バレエ来日公演&「シンデレラ」公開記念トークショーを開催決定!

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「シンデレラ」公開とロイヤル・バレエ来日公演を記念し、特別ゲストを招いてトークショーを開催致します。

■実施日:6月26日(月)
■会場:TOHOシネマズ 日本橋 スクリーン8
■時間:18:30の回(上映前)※予定
■ゲスト:ギャリー・エイヴィス(シニア・レペティトゥール 兼 プリンシパル・キャラクター・アーティスト)
※ゲストの予定は変更になることがございます。また都合により中止となる場合がございます。予めご了承くださいませ。

★詳しくはこちらへ
https://www.tohotheater.jp/theater/073/info/event/roh-cinderella.html

2023.06.13

バレエ『シンデレラ』の魅力、見どころを、を解説します

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森菜穂美氏(舞踊評論家)

<ロイヤル・バレエならではのユーモアとペーソスあふれる『シンデレラ』が新制作で登場>
母を亡くすという不幸な境遇にもめげずに明るく健気なシンデレラが、その清らかな心で幸せをつかむという『シンデレラ』の物語は、いつの時代も人々の心に灯りをともしている。ロイヤル・バレエのフレデリック・アシュトン版では、義理の姉妹を男性ダンサーが女装してユーモラスに演じることによって、滑稽さと共に、シンデレラに対する意地悪があまり深刻なものではなく、誰も悪い人が登場しないという作品の温かさを象徴させている。美しく変身したシンデレラが舞踏会に入場するところの、ガラスの靴のトウシューズでつま先立ちのまま一歩一歩階段を下りていく場面の繊細さと初々しい緊張感を見せるところは、本作屈指の名場面である。プロコフィエフの少しダークだが煌めくような華麗な旋律の音楽も印象的でドラマを盛り上げる。

<万人に愛される傑作『シンデレラ』>
巨匠フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』が初演されたのは1948年、ロイヤル・バレエの前身であるサドラーズ・ウェルズ・バレエ団にて。アシュトンがロイヤル・バレエのために振り付けた初めての全幕作品だった。初演でシンデレラを演じたのは不朽の名画『赤い靴』に主演したモイラ・シアラー、義理の姉妹はアシュトン本人と、名ダンサーとして知られたロバート・ヘルプマン。この『シンデレラ』はアシュトン独特の素早い足捌きと優雅で雄弁な上半身の動きが特徴的。おとぎ話のファンタジックさ、英国らしいおおらかなユーモアと、心優しい人が報われるというハッピーエンドで多くの人に愛される名作となった。

<ローレンス・オリヴィエ賞受賞『となりのトトロ』舞台版の美術デザイナーを起用した話題の新プロダクション>
今回、初演75周年を記念して『シンデレラ』はロイヤル・バレエではおよそ10年ぶりに待望のリバイバルとなり、舞台装置や衣装も一新されての新プロダクションとなった。今回の舞台装置を手掛けたトム・パイは『となりのトトロ』のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる舞台版『My Neighbor Totoro』で2023年のローレンス・オリヴィエ賞舞台デザイン賞を受賞するなど、数多くの話題作を手掛けてきた。変身シーンなどにプロジェクション・マッピングを巧みに使用し、花のモチーフを多用したデザインは高く評価された。女の子の夢を具現化したようなキラキラ輝くシンデレラのチュチュ、目が覚めるように鮮やかな四季の精の衣装など、新しいプロダクションならではの華やかさも見もの。クローズアップで衣装や美術を見ることができるのも、シネマシーズンならではのお楽しみだ。

<世界的なスーパースターのヌニェス、ムンタギロフが主演、主要な役で多くの日本出身ダンサーが活躍>
シンデレラを演じるのは、ロイヤル・バレエのみならず世界を代表するスーパースター・バレリーナであるマリアネラ・ヌニェス。持ち前の明るい笑顔と完璧なテクニックで、夢をつかむ前向きなヒロインを生き生きと演じている。王子には、ロイヤル・バレエ随一の貴公子ワディム・ムンタギロフ。まさに王子の中の王子と呼ぶべきエレガンス、華麗な技巧で魅了する。優しくシンデレラを導く仙女を気品と温かみのある演技で演じるのは、別公演ではシンデレラ役にも配役されている日本出身のプリマ金子扶生。主役を食うほどの活躍を見せる義理の姉たちは、ロイヤル・バレエを代表する名役者ギャリー・エイヴィスと、日本出身のアクリ瑠嘉が女装して抜群のユーモアで演じる。アクリの父マシモ・アクリも新国立劇場バレエ団でアシュトン版『シンデレラ』の義理の姉を演じており、親子二代でこの役を演じたことになる。さらに道化役には目覚ましい活躍を見せる若手の中尾太亮が高い跳躍や美しいつま先で鮮烈な印象を与える。四季の精のうち秋の精を、やはり日本出身の崔由姫が踊るなど、今回も多くの日本出身のダンサーが活躍を見せているのも嬉しいところだ。

世界トップクラスのスターダンサーたちによる、夢とときめきと笑いに満ちた華やかなバレエ作品。単なるおとぎ話に留まらず、ファンタジーと共にドラマと人間味にあふれたロイヤル・バレエの『シンデレラ』には、観た人誰もが幸せな気持ちになる、バレエの魔法がつまっている。ぜひ映画館の大スクリーンで楽しんでほしい。

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2023.06.12

ロイヤル・バレエ『シンデレラ』タイムテーブルのご案内

 

ローレンス・オリヴィエ賞受賞『となりのトトロ』舞台版の美術デザイナーによる新プロダクション!
世界的なスーパースターのヌニェス、ムンタギロフが主演!
日本出身ダンサーが多数活躍する大注目作!!

初演75周年を記念しておよそ10年ぶりに待望のリバイバルとなった「シンデレラ」。舞台装置や衣装も一新されての新プロダクションとなる。舞台装置を手掛けたトム・パイは『となりのトトロ』のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる舞台版『My Neighbor Totoro』で2023年のローレンス・オリヴィエ賞舞台デザイン賞を受賞するなど、数多くの話題作を手掛け、本作の変身シーンなどにはプロジェクション・マッピングを巧みに使用し、花のモチーフを多用したデザインは高く評価された。
日本出身のダンサーも多数活躍をし、世界トップクラスのスターダンサーたちによる、夢とときめきと笑いに満ちた華やかなバレエ作品。
(上演日:2023年4月12日)


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【振付】:フレデリック・アシュトン
【音楽】:セルゲイ・プロコフィエフ
【舞台美術】:トム・パイ
【衣装デザイン】:アレクサンドラ・バーン
【指揮】:クン・ケッセルズ
【出演】
シンデレラ:マリアネラ・ヌニェス、
王子:ワディム・ムンタギロフ、
シンデレラの義理の姉たち:アクリ瑠嘉、ギャリー・エイヴィス
シンデレラの父:ベネット・ガートサイド、
仙女:金子扶生、
春の精:アナ=ローズ・オサリヴァン、
夏の精:メリッサ・ハミルトン
秋の精:崔由姫、
冬の精:マヤラ・マグリ、
道化:中尾太亮

2023.05.30

オペラ『トゥーランドット』を初心者でもわかりやすく解説します

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ドーリア・マンフレーディ事件と『トゥーランドット』

石川 了(ジャーナリスト)

『トゥーランドット』の作曲家ジャコモ・プッチーニにまつわるドーリア・マンフレーディ事件をご存じだろうか。

<ドーリア・マンフレーディ事件>
1903年2月、プッチーニが自動車事故を起こしたあと、プッチーニ家にメイドとして16歳のドーリア・マンフレーディが雇われた。従順な彼女はプッチーニ夫妻に可愛がられるが、プッチーニが社交好きで女好きでもあり、嫉妬深い妻エルヴィーラは夫とメイドの関係を疑い、日に日にドーリアを誹謗中傷した。エルヴィーラからの執拗ないじめに耐えられなくなったドーリアは、1909年1月に命を絶った。検視の結果、ドーリアが処女であることが判明する。マンフレーディ家はエルヴィーラを告訴。プッチーニは多額の示談金と引き換えにドーリアの家族に告訴を取り下げてもらい、ようやく事件は解決するのだった。

<事件がプッチーニに与えたもの>
まるで韓流ドラマのようなスキャンダルは、当時のイタリアのメディアを連日賑わせ、その後のプッチーニ作品にも大きな影響を及ぼした。彼の最後のオペラ『トゥーランドット』では、エルヴィーラとドーリアのキャラクターが、それぞれ氷の姫君トゥーランドットと女奴隷リューに反映されているとも言われる。
原作は18世紀ヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴッツィによる戯曲だが、原作にリューは存在しない。しかし、プッチーニのオペラではリューの存在感は際立ち、愛する主人のために自己犠牲を厭わない女性として、美しいアリアも3曲用意されている。これは、プッチーニのドーリアに対する償いの気持ち?それとも…。ちなみに彼自身はドーリアとの関係をきっぱりと否定している。
プッチーニは「リューの死」を書き上げて、1924年11月29日に死去。未完となった『トゥーランドット』は、その後、弟子の作曲家フランコ・アルファーノが補筆して完成する。

<「誰も寝てはならぬ」の真の姿>
英国ロイヤル・オペラハウス(ROH)2022/23シネマシーズンは、オペラの入口のハードルを下げて有名オペラを鑑賞できるのが魅力だ。『トゥーランドット』は、全3幕各45分ほどの長さの中に、美しい旋律とドラマティックなオーケストラ、迫力の合唱があふれ、オペラ初心者でもまるで映画のようなエンターテイメント感覚で楽しめる。
国を恐怖に陥れる冷酷なトゥーランドット姫に一目惚れした異国の王子カラフは、彼女と結ばれるために命を賭けて三つの謎を解く。カラフを拒絶するトゥーランドットに、彼は「自分の名前を当てれば喜んで死にましょう」と逆に謎を出し、彼女は国中に「誰も寝てはならぬ」と御触れを出すのだった…。そんなトゥーランドットを想ってカラフが歌う「誰も寝てはならぬ(Nessun Dorma)」はフィギュアスケートでも有名だが、このアリアを劇中で接してみると、単なる旋律の美しさだけではない、何かこみあげてくるものを感じるはず。「誰も寝てはならぬ」の真の姿は、オペラの中でしか体感できないのだ。

<ロンドンはダイバーシティ>
音楽ファンには、今、欧米で活躍中の国際色豊かな歌手たちも必見だ。タイトルロールを歌うイタリア人ソプラノのアンナ・ピロッツィはイタリア、リューを歌うまだ20代の若きソプラノ、マサバネ・セシリア・ラングワナシャは南アフリカ、ティムールを歌うバス歌手ヴィタリー・コワリョフはウクライナ、そしてカラフ役のテノール、ヨンフン・リーと宰相ピンを歌うバリトン、ハンソン・ユは韓国。ロンドンのエンターテイメント界はまさにダイバーシティだ。筆者的には、しなやかな演技と美しいリリカルヴォイスで喝采を浴びていたピン役のハンソン・ユに注目している。

ドーリア・マンフレーディ事件と『トゥーランドット』。プッチーニとエルヴィーラ、そしてドーリアの、ある意味、現代にも起こり得る人間ドラマに想いを馳せながら、大迫力のスクリーンと臨場感あふれる音響空間で鑑賞する『トゥーランドット』体験。ROH音楽監督アントニオ・パッパーノが導く圧巻の音楽絵巻を堪能したい。

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2023.05.29

ロイヤル・オペラ『トゥーランドット』タイムテーブルのご案内


 

プッチーニの最後のオペラ《トゥーランドット》が、
英国ロイヤルの傑作プロダクションと名匠パッパーノの指揮で蘇る!

プッチーニ最後の作品であり、おとぎ話に隠された残酷さや真理、オーケストラのモダンな響きが現代人の感性にマッチする魅力を感じさせる『トゥーランドット』。本作といえば有名なのがテノールのアリア「誰も寝てはならぬ」。今回は韓国出身のヨンフン・リーが情熱的な歌唱でカラフ役を演じている。題名役のトゥーランドットを歌うのはアンナ・ピロッツィ。圧倒的なテクニックと声の威力、そして細やかな演技で、氷のような姫君を見事に浮き彫りにした。
アンドレイ・セルバンの演出は、1984年の初演から英国ロイヤルの傑作プロダクションとして長く愛されてきた名舞台。指揮は英国ロイヤルを音楽監督として長年率いてきたパッパーノが務め、その研ぎ澄まされた感性で音の細部まで表現し、現代的なアプローチで作品の魅力を引き出した演奏は大絶賛された。
(上演日:2023年3月22日)


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【指揮】:アントニオ・パッパーノ
【演出】:アンドレイ・セルバン
【再演演出】:ジャック・ファーネス
【美術・衣裳】:サリー・ジェイコブス
【照明】:F・ミッチェル・ダナ
【キャスト】
トゥーランドット姫:アンナ・ピロッツィ、
カラフ:ヨンフン・リー、
リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ、
ティムール:ヴィタリー・コワリョフ、
ピン:ハンソン・ユ、
パン:アレッド・ホール、
ポン:マイケル・ギブソン、
アルトゥム皇帝:アレクサンダー・クラベッツ、
官吏:ブレイズ・マラバ

2023.05.15

ロイヤル・オペラ『セビリアの理髪師』タイムテーブルのご案内


 

ワクワク、ドキドキ、楽しさに胸おどる!
ロッシーニの傑作をカラフルな舞台と躍動感あふれる演奏で堪能する。

ロッシーニのオペラの中でも、世界中のオペラハウスで上演され続けている最高傑作といえば《セビリアの理髪師》。今回の演出はライザー&コーリエが2005年に英国ロイヤル・オペラで手がけ、その後も再演を重ねている人気プロダクション。美しい色彩で、面白い仕掛けが一杯の大団円まであっという間の、一瞬たりとも見逃せない舞台となっている。
(上演日:2023年2月15日)


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【音楽】:ジョアキーノ・ロッシーニ
【台本】:チェーザレ・ステルビーニ (原作:ボーマルシェによる戯曲「セビーリャの理髪師」)
【指揮】:ラファエル・パヤーレ
【演出】:モッシュ・ライザー、パトリス・コーリエ
【美術】:クリスティアン・フェヌイヤ
【衣裳】:アゴスティーノ・カヴァルカ
【照明】:クリストフ・フォレ
ロイヤル・オペラ合唱団(合唱指揮:ウィリアム・スポールディング)
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団(ゲスト・コンサートマスター:ベンジャミン・マーキス・ギルモア)
フォルテピアノ:マーク・パックウッド
【出演】
ロジーナ:アイグル・アクメチーナ
フィガロ:アンドレイ・フィロンチク
アルマヴィーヴァ伯爵:ローレンス・ブラウンリー
ドン・バジーリオ:ブリン・ターフェル
バルトロ:グラント・ドイル(歌)/ファビオ・カピタヌッチ(演技)
ベルタ:エイリッシュ・タイナン
アンブロージオ:チャーベル・マター
隊長:ダヴィッド・キンバーグ
公証人:アンドリュー・マックネイル

2023.05.09

オペラ『セビリアの理髪師』を初心者でもわかりやすく解説します

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家田 淳(演出家・翻訳家、洗足学園音楽大学准教授)

大躍進中のメゾソプラノ、アイグル・アクメチーナを今観ておきたい!

 ロイヤル・オペラ・ハウス(以下ROH)「セビリアの理髪師」(モッシュ・ライザー、パトリス・コーリエ演出)は、絵本のようなファンタジックな世界。カラフルな衣裳は18世紀と現代のデザイナーテイストのミックスで、フィガロのいでたちはスーパーマリオのよう。演技達者な歌手達によるハッピーなコメディを存分に楽しめる舞台である。

 2005年初演のプロダクションでもう5回目の再演になるが、今回はオリジナル演出家が実際に稽古をつけ、内容をブラッシュアップしている。歌手の演技もディテールが刷新されてフレッシュさを感じられる。

 今回の再演で大注目なのが、ロシア出身のメゾソプラノ、アイグル・アクメチーナ。まだ20代後半の若さで現在、世界中の歌劇場を席巻し「新生ネトレプコ」とも称される次世代のスターである。
 アクメチーナは若干19歳でROHの養成機関ジェットパーカー・ヤングアーティスツ・プログラムに入所した。そして期待通りに羽ばたき、2019年に同歌劇場でバリー・コスキー演出「カルメン」でタイトルロールを演じたほか、今後もメトやバイエルン歌劇場で「カルメン」タイトルロール、ROHで「ウェルテル」シャルロットなど大舞台での主演が目白押しである。実は日本でも2020年、新国立劇場「こうもり」オルロフスキー役で登場している。
 「セビリアの理髪師」ロジーナも持ち役の一つ。アリア”Una voce poco fa(今の歌声は)”ではヴェルヴェットのような声とアジリタの確かさに加え、妖艶な炎で一瞬にして独自の世界に引き込む。キュートなルックスに、毒をもつ妖しさ。目が離せないヒロインなのだ。

 ROHのジェットパーカー・ヤング・アーツプログラムについて少し。このプログラムは世界で最も権威あるオペラ養成機関の一つで、国籍は問わないため世界各国から毎年多数の応募があるが、入所できるのは1年に歌手5名、ピアニスト1名、指揮者1名、演出家1名のみ。ある程度プロとしての実績を持つ20代後半から30代前半の人がほとんどで、アクメチーナの19歳での入所は異例中の異例。当時からそれだけずば抜けた才能を見せていたのだろう。
筆者は2014年にこちらのプログラムで半年間研修する機会に恵まれ、演技や語学のレッスンに一緒に参加しながら、若い彼らが学ぶ様子をつぶさに見ることができた。
在籍する歌手は、歌や演技、各国語のレッスンを日々受けながら、ROH本公演における主要な役のカバーを務める。本役の歌手が降板するといきなり主役デビューができるという、大きなチャンスに恵まれる。私が滞在していた半年ほどの間にも、数名が実際に主役デビューを飾り、大手新聞の評で賞賛されていた。

 今回の「セビリア」でもう一人の注目は、音楽教師バジリオ役のブリン・ターフェル。今回、ターフェルはバジリオのロールデビューをしているのだ。
言わずと知れた大スターで、普段はオランダ人、ヴォータン、ファルスタッフ、ミュージカルではスウィーニー・トッドなど主役・準主役を歌う歌手でありながら、今さら脇役バジリオにわざわざ挑戦するのは、シリアスもコミカルもこなす演技派ターフェルならではの遊び心であろう。実際、アリア”La calunnia è un venticello(悪口はそよ風のように)”では雇い主バルトロ役の歌手を完全に食ってしまう怪演を見せつつ、全員で呼吸を合わせなければならない1幕フィナーレのようなシーンでは、しっかりアンサンブルの一員に徹している。若い頃は「フィガロの結婚」のほうのフィガロを当たり役としていたが、同じストーリーにおいて今度はフィガロの敵役ペテン師を演じるのも楽しんでいるに違いない。やつれ風情の気持ち悪いロングヘアは本人も気に入ったらしく、公演初日に「こんな音楽教師に教わるのは嫌だろうなあ」というおどけたコメントとともに、ツイッターに自撮りをアップしている。
今年4月には東京・春・音楽祭でソロリサイタル、そして「トスカ」(演奏会形式)にスカルピアで登場し、圧巻のパフォーマンスで喝采を浴びていた。彼が現れた途端、何のセットもないコンサートホールも劇場空間に変身するのである。

 ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマでは7月に「セビリアの理髪師」の後日譚である「フィガロの結婚」も上演が予定されている。2本とも観て、ストーリーと人物たちのつながりを楽しむのもお勧めしたい。

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