ロイヤル・バレエ
ジゼル
GISELLE
ロイヤル・バレエ
ジゼル
GISELLE
高田茜が紡ぐ、愛と死を超えた物語―ロマンティック・バレエの金字塔『ジゼル』
1841年にパリ・オペラ座で生まれて以来、『ジゼル』はロマンティック・バレエの最高峰の作品として世界中で上演され、名だたるバレリーナたちが名演を見せてきた。1幕の牧歌的な農村でやがて起きる悲劇、2幕の亡霊「ウィリ」が舞い踊る月に照らされた墓場という、全く異なる二つの世界の対比を描いている。
踊りが大好きだが心臓の弱い村娘ジゼルは、村人に偽装した貴族の恋人アルブレヒトに裏切られ、絶望の末に自死する。死後、結婚前に裏切られた女性たちの精霊ウィリの一人となりながらも愛を貫き、標的となった彼を守り抜く。愛と裏切り、そして赦しを描き、物語性とスペクタクル性が見事に組み合わされた名作である。振付とマイムを通して現実と幻想が融合し、その精神性とドラマ性によって時代を超えて愛されてきた。
英国バレエを代表する巨匠ピーター・ライトによる演出版は、ジゼルの死をアルブレヒトの剣による自死として描く点が大きな特徴である。英国らしい演劇性が重視された演出で、ドラマティックに物語ることと真実味のある感情のバランスが際立つ。マイム(身振りによる演技)の重要な場面が物語を牽引し、ダンサーたちのジェスチャーによって心を揺さぶるドラマが浮かび上がる。特に1幕で母ベルタがウィリの伝説を語る場面は、それまでの明るい農村の雰囲気を一変させる印象深い場面である。
ジゼルの狂乱から死に至る場面はバレリーナたちの試練の場として数多くの名演を生み、「バレリーナのハムレット」とも呼ばれる。2幕のジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥでは、想いが通じ合う様子が感動的に表現される。さらにウィリの女王ミルタの登場や、一糸乱れぬコール・ド・バレエは、この作品ならではの幻想的な美しさを生み出している。
今回ジゼルを演じるのは高田茜。2016年にこの役でプリンシパルに昇進し、特別な思い入れを持つ役である。繊細な表現力と確かなテクニック、そして儚さを併せ持ち、狂乱の場面では迫真の演技で観る者の心を揺さぶる。2幕では崇高さも漂わせ、現代を代表するジゼルの一人と言えるだろう。アルブレヒト役は、端正な佇まいと高いリフト技術、演劇性を兼ね備えたマシュー・ボールが務める。またヒラリオンを演じるヴァレンティノ・ズケッティ、ミルタ役のアネット・ブヴォリも注目だ。1幕の収穫祭の踊りでは、日本出身の前田紗江、五十嵐大地らが祝祭的な雰囲気を盛り上げる。
高田茜をはじめとするトップダンサーたちが、生と死を超える愛と赦しの物語をドラマティックに描く「ジゼル」。心を震わせる珠玉の舞台を、ぜひスクリーンで堪能したい。なお、今年7月にはロイヤル・バレエ団の来日公演でも『ジゼル』の上演が予定されている。
(2026年3月3日上演作品/上映時間:2時間41分)
PHOTO&MOVIE フォト&ムービー
STORY ストーリー
1幕
ドイツ、ラインラントの村。踊りが好きだが病弱な村娘のジゼルは、ロイスという村人だと名乗る、実は貴族のアルブレヒト伯爵である青年と恋に落ちる。迷信深い母のベルタは、ジゼルが森番のヒラリオンと結婚することを望んでおり、ロイスは信頼できないと彼女に言う。ベルタはジゼルにウィリの伝説を語る。結婚する前に命を落とした若い娘たちは、真夜中から夜明けの間に出会う男性を死ぬまで踊らせる精霊になってしまうと。ジゼルは母の言葉に耳を貸さず、ロイスと共に収穫祭の祝祭に加わる。
アルブレヒトの従者であるウィルフリードは、クーランド公爵と、その娘でアルブレヒトの許嫁であるバチルド公女に率いられた狩りの一行が近づいているとアルブレヒトに警告する。アルブレヒトは隠れるが、ジゼルに横恋慕しているヒラリオンは彼らを覗き見ており、アルブレヒトの正体を暴こうと思い立つ。狩りの一行が到着し、ジゼルは彼らのために踊り、バチルドに自分にも婚約者がいることを伝える。バチルドは祝福のしるしとして首飾りをジゼルに贈り、ベルタの小屋で休むことを伝える。公爵は狩りを続けることにして、バチルドが合流したいときに呼んでもらえるよう角笛を置いていく。
ヒラリオンはロイスの小屋の中から現れ、アルブレヒトの刀を見つける。この刀には角笛と同じ紋章が刻まれており、証拠がそろう。アルブレヒトが戻ってくると、ヒラリオンはロイスが実はアルブレヒト伯爵であるという秘密を暴く。彼が角笛を吹くと狩りの一行が戻り、バチルドは小屋の中から現れて、実はアルブレヒトと婚約していることをジゼルに伝える。ジゼルにとってこの真実は耐え難いものであり、あまりの悲しみで狂乱に陥った末、ロイスへの愛を確信しながらも彼の刀で自害する。
2幕
ヒラリオンは森の奥深くにあるジゼルの墓前で夜通し過ごしている。真夜中にウィリたちが現れ、ヒラリオンは恐怖で逃げ回る。ウィリの女王ミルタはウィリたちを呼び寄せる。ミルタはジゼルを仲間として迎え入れる。アルブレヒトはジゼルの墓に花を供える。彼女の霊が現れると、彼は森の中へと彼女を追っていく。
ヒラリオンはウィリたちに追われ、踊り狂わされる。踊り疲れた彼は湖へと追い込まれ、溺死する。
ウィリたちは次の獲物としてアルブレヒトに狙いを定める。ミルタが彼に踊ることを命じると、ジゼルは彼を十字架のもとへ呼び寄せ、守ろうとする。だがミルタはジゼルに彼と共に踊ることを命じ、彼を死ぬまで踊らせようとする。ジゼルは彼を守ろうとするが、彼は夜が深くなるとともに踊らされて弱っていく。踊り疲れて死が目前に迫ったとき、夜が明ける。朝の光はウィリたちの力を打ち消し、彼女たちは消えていく。ジゼルも墓へと戻って消えていき、アルブレヒトは悲しみに暮れて一人取り残される。
| 【振付】 | マリウス・プティパ |
|---|---|
| 【原振付】 | ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー |
| 【音楽】 | アドルフ・アダン |
| 【台本】 | テオフィル・ゴーティエ (ハインリヒ・ハイネによる) |
| 【演出・追加振付】 | ピーター・ライト |
| 【美術】 | ジョン・マクファーレン |
| 【照明】 | デヴィッド・フィン(ジェニファー・ティプトンのオリジナル・デザインによる) |
| 【ステージング】 | クリストファー・カー、サマンサ・レイン |
| 【シニア・レペティトゥール】 | サミラ・サイディ |
| 【レペティトゥール】 | ジャン・アティムタエフ、シアン・マーフィー |
| 【プリンシパル指導】 |
アレクサンダー・アグジャノフ、リアン・ベンジャミン、 ダーシー・バッセル、スチュアート・キャシディ、オルガ・エヴレイノフ、 モニカ・メイソン、イザベル・マクミーカン、クリストファー・サウンダース、 エドワード・ワトソン |
|
〈キャスト〉 |
|
| 【ジゼル】 | 高田茜 |
| 【アルブレヒト】 | マシュー・ボール |
| 【ヒラリオン(森番)】 | ヴァレンティノ・ズケッティ |
| Act I 1幕 | |
| 【ウィルフリード(アルブレヒトの従者)】 | ジョシュア・ジュンカー |
| 【ベルタ(ジゼルの母)】 | クリステン・マクナリー |
| 【クーランド公爵】 | ベネット・ガートサイド |
| 【バチルド(クーランド公爵の娘)】 | オリヴィア・カウリー |
| 【狩のリーダー】 | トーマス・ホワイトヘッド |
|
前田紗江、ジョンヒュク・ジュン、ヴィオラ・パンテューソ、 リアム・ボズウェル、エラ・ニュートン・セヴェニーニ、五十嵐大地 |
|
| Act II 2幕 | |
| 【ミルタ(ウィリの女王)】 | アネット・ブヴォリ |
| 【モイナ(ミルタの従者)】 | レティシア・ディアス |
| 【ズルマ(ミルタの従者)】 | ミーシャ・ブラッドベリ |
|
〈音楽〉 |
|
| 【指揮者】 | ヴェロ・ペーン |
| 【管弦楽】 | ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団 |
| 【コンサートマスター】 | セルゲイ・レヴィティン |
THEATER 上映劇場
| 地域 | 劇場名 | 上映期間 |
|---|---|---|
| 北海道 | 札幌シネマフロンティア | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 宮城 | フォーラム仙台 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 東京 | TOHOシネマズ日本橋 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 東京 | イオンシネマ シアタス調布 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 千葉 | TOHOシネマズ流山おおたかの森 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 神奈川 | TOHOシネマズららぽーと横浜 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 愛知 | ミッドランドシネマ | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 京都 | イオンシネマ京都桂川 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 大阪 | 大阪ステーションシティシネマ | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 兵庫 | TOHOシネマズ西宮OS | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |
| 福岡 | キノシネマ天神 | 2026/5/29(金)~2026/6/4(木) |