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2019.12.26

ロイヤル・オペラ『ドン・パスクワーレ』<タイムテーブルのご案内>

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<ブリン・ターフェルがドン・パスクワーレ役に初挑戦!>
ミキエレットが演出する、舞台を現代に移した「ドン・パスクワーレ」

老人いじめ?女性の権利を獲得するための闘い?ドニゼッティ最後のオペラ・ブッファ(喜歌劇)「ドン・パスクワーレ」は、金満家の老人ドン・パスクワーレが、言うことを聞かない甥エルネストを懲らしめようとして、彼と恋人のノリーナ、そして彼らの友人マラテスタの策略にかかり大変な目にあってしまう物語。

2019年春にパリ・オペラ座で上演されて大人気を得たミキエレットの演出がロイヤル・オペラ・ハウスでも上演、現代的で辛口な切り口が大きな話題となった。英国で圧倒的な人気を誇るウェールズ出身のバス・バリトン、サー・ブリン・ターフェルが初めてタイトルロールのドン・パスクワーレ役を演じ、台詞の細かいニュアンスまで素晴らしい表現で役を熱演している。

ヨーロッパで人気抜群のロシア人ソプラノ、オルガ・ペレチャッコが英国ロイヤル・オペラ・ハウスへのデビューとしてノリーナ役を歌い、抜群のテクニックと演技力で高い評価を得た他、気の弱い青年エルネスト役のテノール、イオアン・ホテア、スタイリッシュなマラテスタ役のバリトン、マルクス・ヴェルバなどが活躍。ノリーナの登場のアリア「あの騎士の眼差しは」は、映画撮影のセットでアシスタントとして働くノリーナによって歌われるなど、ヴィヴィッドで活気あふれる舞台。

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<ロイヤル・オペラ『ドン・パスクワーレ』タイムテーブル>

 

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【作曲】 ガエターノ・ドニゼッティ
【演出】 ダミアーノ・ミキエレット
【指揮】 エヴェリーノ・ピド
【出演】 ドン・パスクワーレ:ブリン・ターフェル、ノリーナ:オルガ・ペレチャッコ、エルネスト:イオアン・ホテア、マラテスタ:マルクス・ヴェルバ

2019.12.18

ロイヤル・オペラ『ドン・ジョバンニ』<タイムテーブルのご案内>

<アーウィン・シュロットが歌うドン・ジョバンニが圧倒的な魅力で迫る>
ROHの人気プロダクションがシネマシーズン オープニングに登場!

 2015年 英国ロイヤル・オペラ来日公演で話題になったカスパー・ホルテン演出のモーツァルト《ドン・ジョバンニ》。2014年に新制作されて以来、現地ロンドンでもすでに三度目の再演となる人気プロダクション。エス・デブリンによる美術は時代を特定せず、白く塗られた二階建ての建物が回転し、そこに様々なイメージや文字が投影される。まるでドン・ジョバンニの心の迷宮を目の当たりにしているかのような、夢と現の間をさまよう舞台がモーツァルトの音楽に呼応する。アニャ・ヴァン・クラフによる衣裳もため息がでるほど美しい。

今回のプロダクションの最大の魅力はアーウィン・シュロットの演ずるタイトルロール。ウルグアイ出身のバス・バリトン歌手シュロットは、オペラ界のトップ・スター、アンナ・ネトレプコの元夫としても知られるが、ドン・ジョバンニは彼の最大の当たり役。男の色気が溢れる歌唱と演技、そして艶のある美声にロンドンの聴衆が熱狂した。

他の出演者も充実している。イタリア人歌手ロベルト・タリアヴィーニが端正な歌と若々しい演技でレポレッロを演じている他、ドン・ジョバンニに翻弄される女性たちは、クリスタルな美声と抜群の歌唱技術を持つマリン・ビストロームがドンナ・アンナを、ミルト・パパタナシュが情熱的なドンナ・エルヴィーラを、ルイーズ・オールダーが溌剌としたゼルリーナを演じている。ドン・オッターヴィオはダニエル・ベーレ、騎士長はペトロス・マゴウラス、マゼットはレオン・コザヴィッチ。指揮のハルトムート・ヘンヒェンはモーツァルトの傑作を堂々としたテンポで描き出す。

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<ロイヤル・オペラ『ドン・ジョバンニ』タイムテーブル>

 

 

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【作曲】ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
【演出】カスパー・ホルテン
【指揮】ハルトムート・ヘンヒェン
【出演】ドン・ジョバンニ:アーウィン・シュロット、レポレッロ:ロベルト・タリアヴィーニ、ドンナ・アンナ:マリン・ビストローム
ドンナ・エルヴィーラ:ミルト・パパタナシュ、ゼルリーナ:ルイーズ・オールダー、ドン・オッターヴィオ:ダニエル・ベーレ
騎士長:ペトロス・マゴウラス、マゼット:レオン・コザヴィッチ

2019.12.10

オペラ『ドン・ジョバンニ』を初心者でもわかりやすく解説します

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石川了(音楽・舞踊プロデューサー)

<史上最強のプレイボーイ=ドン・ジョバンニ>
モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』といえば、イタリアで640人、ドイツで231人、スペインで1003人の女性をモノにした(と歌われている)史上最強のプレイボーイ、ドン・ジョバンニが主人公。いきなりレイプシーン!から始まり、最後は主人公の地獄落ちで終わるというドラマもなかなかすごい。
こんな不道徳な内容なのに、1787年プラハで初演されて以来、今もなお世界中で上演される人気の理由は、何と言ってもモーツァルトの音楽だ。2幕構成で3時間弱という少し長いオペラだが、有名な「序曲」に始まり、「カタログの歌」「手を取り合って」「彼女の心の安らぎこそが」「シャンペンの歌」「ぶってよマゼット」「セレナード」「薬屋の歌」「あの恩知らずは私を裏切り」「私の恋人を慰めて」、そして映画『アマデウス』でも印象的な「地獄落ち」の音楽など、こんなにたくさんのポピュラーなアリアや重唱が登場するオペラは他にはないだろう。

登場人物のキャラクターも魅力的。主人公のドン・ジョバンニは、「年齢も体型も肌色も関係なく、全ての女性を平等に愛する」男性。身分が高く金持ちで、容姿もばっちり、たぶん人間も大きい。手癖が悪い以外は、あらゆる女性を虜にする、まさに理想の男性といえるかもしれない。
面白いのは彼を巡る3人の女性たちで、この公演ではとても興味深い描かれ方をしている。いきなりレイプされるドンナ・アンナは復讐に燃えるのだが、それでもドン・ジョバンニに惚れているとしか見えないし、婚約者ドン・オッターヴィオには見向きもしない。ツェルリーナはもっと小悪魔で、自分からドン・ジョバンニに迫りながら、拗ねた夫マゼットとよりを戻すためにあの手この手を尽くす。ドンナ・エルヴィーラの愛はストレートだが、少しストーカー的と言えるのではないだろうか。

演出は、英国ロイヤル・オペラの前オペラディレクター、カスパー・ホルテン。当プロダクションは2014年2月に初演され、この映像は4回目の再演を収録したもの。2015年の同歌劇場来日公演でもお披露目されたので、リアルでご覧になった方も多いだろう。
その来日記者会見で、演出家はドン・ジョバンニを「彼が恐れるのは、地獄の炎ではなく孤独である。孤独を恐れるがあまり、彼はあらゆる女性を誘惑し現実を忘れようとしているのだ」と解釈していた。そんなドン・ジョバンニの地獄落ちはどのように描かれるのか。人間の偽善や存在の脆さが浮かび上がる、シェイクスピアの国ならではの演劇的な舞台が展開する。
また、オペラから映画、ファッションまで幅広いジャンルを横断する舞台デザイナーで、アデルやビヨンセ、カニエ・ウェスト、レディ・ガガ、U2といった多くのミュージシャンのクリエイティブ・ディレクターとしても活躍するエス・デヴリンの装置も見どころ。
ぐるぐる回転する二階建ての白い建物と、そこに投影されるプロジェクション・マッピングは来日公演でも話題を呼んだが、それは映像で観ても迫力満点。プロジェクション・マッピングを手掛けたのはロンドン五輪閉会式の映像クリエイティブ・ディレクター、ルーク・ホールズ。
タイトルロールを演じるウルグアイ出身のアーウィン・シュロットは、現代最高のドン・ジョバンニの一人と言われている。歌姫アンナ・ネトレプコのハートを射止め(現在は離婚)、そのエキゾチックで精悍な顔立ちと男の色気を醸し出す立ち姿、そして深みのあるバリトンヴォイスは、見た目も声もドン・ジョバンニそのものだ。スクリーンにアップで映るシュロットの憂いのある瞳と表情も、女性からすると堪らないだろう。

オペラを一度でいいから観てみたいが、値段も敷居も高いと思っている方には、映画館でのオペラ映像体験がその第一歩として最適ではないだろうか。値段はお手頃だし、臨場感あふれる音響も映画館ならでは。さらに劇場では見えにくい歌手たちの表情も楽しめる。
「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」では、公演映像のみならず、指揮者・演出家・歌手などへのインタビューや作品解説、リハーサル風景もたっぷり追加され、オペラをできるだけわかりやすく鑑賞できるような創意工夫が嬉しい。
しかし、オペラはやはり生が一番。ロンドンに行った際にはコヴェント・ガーデンにお出掛けして、英国ロイヤル・オペラ・ハウスで生オペラを是非体験してみてほしい!

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2019.11.20

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20」 日本版予告映像とポスタービジュアルが到着!さらに全12演目の公開日も決定!

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20」いよいよ開幕!
日本版予告映像とポスタービジュアルが到着&全12演目の公開日が決定致しました!

 

『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン』は、ロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたロイヤル・バレエ団、ロイヤル・オペラによる世界最高峰のバレエとオペラを、映画館で鑑賞できる人気シリーズ!ロイヤル・バレエ団には、最高位のプリンシパルとして、日本出身の高田茜さん、平野亮一さんが在籍、他にも金子扶美さん、アクリ瑠嘉さん、崔 由姫さんなどが現役で活躍しており、その姿を日本で観られることでも大きな注目を集めています!

この度到着した日本版予告編には、華やかなオーケストラ音楽とともにシネマシーズンを彩る人気演目のワンシーンが続々登場し、ライブ観劇しているような臨場感あふれる鑑賞体験への期待が高まる映像となっています。さらに、出演者らの細やかな表情や仕草をクローズアップで捉えたシーンや、普段は目にすることのないリハーサルの様子など、シネマシーズンならではの場面も多数収録。昨シーズンに引き続き、本シーズンでも全ての上映作品には、人気の高いナビゲーターによる舞台裏でのインタビューや特別映像が追加され、スペシャルな映像を映画館の大スクリーンと迫力ある音響でお楽しみ頂けます!

また併せて到着した日本版ポスターには、ロイヤル・オペラ『フィデリオ』、ロイヤル・バレエ『眠れる森の美女』のカットと共に「伝統の重みを味わい、新しい挑戦に胸が高鳴る。」というコピーが添えられており、英国名門歌劇場が誇る情熱的なオペラと幻想的なバレエの世界に引き込まれるビジュアルに仕上がっています。

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2020年1月3日(金)よりいよいよ開幕する『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20』が贈る感動と至福の時間を、是非映画館でご体験ください!


【『2019/20』全12演目公開日】

●ロイヤル・オペラ『ドン・ジョバンニ』:1月3日(金)
●ロイヤル・オペラ『ドン・パスクワーレ』:1月10日(金)
●ロイヤル・バレエ『コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕』:1月17日(金)
●ロイヤル・バレエ『コッペリア』:1月24日(金)
●ロイヤル・バレエ『眠れる森の美女』:5月8日(金)
●ロイヤル・オペラ『ラ・ボエーム』:5月15日(金)
●ロイヤル・バレエ『ザ・チェリスト/ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』:5月22日(金)
●ロイヤル・オペラ『フィデリオ』:5月29日(金)
●ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』:7月17日(金)
●ロイヤル・オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』:7月24日(金)
●ロイヤル・バレエ『ダンテ・プロジェクト』:7月31日(金)
●ロイヤル・オペラ『エレクトラ』:8月7日(金)
※札幌シネマフロンティアのみ公開日が異なる演目がございます。


【上映劇場】

*TOHOシネマズ シャンテ
*TOHOシネマズ 日本橋
*イオンシネマ シアタス調布
*TOHOシネマズ ららぽーと横浜
*TOHOシネマズ 流山おおたかの森
*TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ
*イオンシネマ 京都桂川
*大阪ステーションシティシネマ
*TOHOシネマズ 西宮OS
*札幌シネマフロンティア
*フォーラム仙台
*中州大洋映画劇場

2019.09.09

今シーズンもアンコール上映が決定!バレエ6作品に加え、人気のオペラ作品もラインナップ!!『運命の力』『椿姫』、『ドン・キホーテ』『ロミオとジュリエット』他、 大人気演目を再び映画館で!!

今シーズン『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19』にて上映されたバレエ6作品とオペラの人気作品が、TOHOシネマズ シャンテとTOHOシネマズ 日本橋限定で、9月20日(金)よりアンコール上映されることが決定いたしました!

ロンドンのコヴェント・ガーデン、英国ロイヤル・オペラ・ハウスで上演された世界最高峰のバレエとオペラを全国の映画館で鑑賞できる『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン』。すべての上映作品に、ロイヤル・オペラ・ハウスで人気の高い案内人による舞台裏でのインタビューや特別映像等が追加されており、そのボリュームある内容や迫力ある音響で、日本にいながらも実際の劇場で観劇しているような臨場感を味わう事が出来るとともに、大スクリーンに映し出されるひとつひとつ細やかな表情や美しい映像を楽しめると、人気を博しています。

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この度、今シーズン上映され大好評を博したバレエ6演目と、人気の高いオペラ2演目のアンコール上映が決定。ロイヤル・オペラでは、25年間上演されて続けている人気プロダクション『椿姫』やオペラ界の2大スター、ソプラノのアンナ・ネトレプコとテノールのヨナス・カウフマンが11年ぶりにロンドンで共演した『運命の力』の2演目がラインナップ。チケット争奪戦を極めた超貴重演目を日本にいながら存分に堪能することが出来る。また今年6月に3年ぶりの来日公演を行ったロイヤル・バレエ団には、日本人プリンシパルの平野亮一さんや高田茜さん他、日本人ダンサーが多数在籍。ファーストソリストの金子扶生さんも出演した『ドン・キホーテ』では、高田さんが全幕主演を務めた他、平野さんは、7月の来日公演で話題になったマシュー・ボーン演出の『白鳥の湖』に主演し日本でも人気急上昇となったマシュー・ボールとともに、トリプルビルの新作『メデューサ』に出演しており、その大活躍ぶりを大スクリーンで間近に感じることが出来る。その他『くるみ割り人形』『ロミオとジュリエット』など王道の名作から近年のチャレンジングな作品まで幅広い演目がラインナップ。『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19』の演目を映画館の大スクリーンで見ることが出来る最後のチャンスをお見逃しなく!

<『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/2019』アンコール上映>

9月20日(金)
・ロイヤル・バレエ 『うたかたの恋』
9月21日(土)
・ロイヤル・バレエ 『ラ・バヤデール』
9月22日(日)
・ロイヤル・バレエ 『くるみ割り人形』
9月23日(月・祝)
・ロイヤル・バレエ 『ドン・キホーテ』
9月24日(火)
・ロイヤル・バレエ 『ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー / メデューサ / フライト・パターン』
9月25日(水)
・ロイヤル・バレエ 『ロミオとジュリエット』
9月26日(木)
・ロイヤル・オペラ『椿姫』   ※TOHOシネマズ シャンテのみ上映
・ロイヤル・オペラ『運命の力』 ※TOHOシネマズ 日本橋のみ上映

【TOHOシネマズ シャンテのスケジュール】
https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/081/TNPI2000J01.do
【TOHOシネマズ 日本橋のスケジュール】
https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/073/TNPI2000J01.do

2019.08.21

ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』<タイムテーブルのご案内>

Romeo and Juliet 18/09/15, Copyright 2015 ROH. Photographed by Alice Pennefather

運命に翻弄され、短い生を熱く駆け抜けた恋人たちを描いたウィリアム・シェイクスピアの不朽の名作

1940年初演のラヴロフスキー版(初演キーロフ・バレエ)を始め、様々な振付家がバレエ化に挑戦してきたが、巨匠ケネス・マクミラン振付の本作はドラマティック・バレエに秀でたロイヤル・バレエの最良の部分を見せる決定版。プロコフィエフによる圧巻の音楽がロマンティックなパ・ド・ドゥや生き生きした群衆シーンを鮮やかに彩り、ニコラス・ジョージアディスによる重厚華麗な舞台美術によって16世紀のヴェローナが再現される。

1965年にコヴェント・ガーデンで初演されたマクミランの『ロミオとジュリエット』は、実に40分間も拍手が鳴りやまず、43回ものカーテンコールが行われるという大成功を収めた。初演を踊ったのはマーゴ・フォンテーンだが、実際にはリン・シーモアとクリストファー・ゲイブルのために振付けられた。ロイヤル・バレエにおいては400回以上も上演され、ツアー公演でも人気を集めている。20世紀バレエの最高傑作と言っても過言ではない。

数日間で大人への階段を駆け上るジュリエット、燃え上がる恋心を抑えられないロミオの高揚感が振付へと昇華したバルコニーのパ・ド・ドゥはすべてのバレエ作品のデュエットの中でも最も甘美で忘れがたい場面。ロミオにマキューシオ、ベンヴォーリオが加わった”3バカトリオ”の友情も微笑ましく、疾走感のある群衆シーンやドラマティックな旋律に乗った重厚な騎士たちの踊り、悲痛な墓場でのパ・ド・ドゥなど、名場面に事欠かない。今回は愛らしいヤスミン・ナグディと、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』に主演して話題沸騰中のマシュー・ボールという、ロイヤル・バレエの新世代を象徴する若手プリンシパルペアが主演して、初々しく情熱的な恋に観客の胸も高鳴りっぱなしとなることだろう。

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<ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』タイムテーブル>

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【振付】ケネス・マクミラン 【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ【指揮】パーヴェル・ソローキン
【出演】ジュリエット:ヤスミン・ナグディ/ロミオ:マシュー・ボール
マキューシオ:ヴァレンティノ・ズケッティ/ティボルト:ギャリー・エイヴィス/ベンヴォーリオ:ベンジャミン・エラ/パリス:ニコル・エドモンズ
キャピュレット卿:クリストファー・サウンダーズ/キャピュレット夫人:クリスティナ・アレスティス/乳母:クリステン・マクナリー
三人の娼婦:ベアトリス・スティクス=ブルネル、ミカ・ブラッドベリ、ロマニー・パジャック
マンドリン・ダンス:マルセリーノ・サンベ/ローレンス神父:ジョナサン・ハウエルズ/ロザライン:金子扶生

2019.08.21

篠井英介、土屋アンナがシネマシーズンで 不朽の名作『ロミオとジュリエット』の世界を体感! 絶賛コメント到着!!

8月23日(金)より今シーズン11作目、今期のフィナーレを飾るロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』が公開!

この度、一足先に本作を鑑賞し、英国ロイヤル・バレエ団ならではの『ロミオとジュリエット』の世界に誘われた篠井英介さんと土屋アンナさんよりコメントが到着いたしました!

■篠井英介(俳優)
マシュー・ボーンの「白鳥の湖」で見事にスワンとストレンジャーを踊り切ったマシュー・ボール。
この「ロミオとジュリエット」のロミオを踊るために生まれてきたような美しさ、初々しさ、すばらしさ。
英国ロイヤル・バレエならではの豪華で品の良い舞台に夢を見たように酔った!

■土屋アンナ(モデル、歌手、女優)
ダンサー2人の熱い表現力に引き込まれ、繊細な表情1つ1つに心を揺り動かされて最後に涙した。
この名作にきっと多くの人が感動するだろう。
シネマでのバレエは、特等席で観たような気分で幸せだった。

8月23日(金)より公開の『ロミオとジュリエット』の詳細はこちら

2019.08.16

『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20』のラインナップ 全12演目発表!!

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この度、本シーズン『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19』に続き、『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20』の劇場公開全12演目が決定!

『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20』では、ロイヤル・バレエ『眠れる森の美女』ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』ロイヤル・オペラ『ラ・ボエーム』など人気作品12演目がラインナップ。

さらに、ロイヤル・オペラ『フィデリオ』には”キング・オブ・テノール”ヨナス・カウフマンが出演予定など、豪華出演者たちの競演にも注目です。また、ロイヤル・バレエ団では、プリンシパル高田茜さん平野亮一さんを始めとして、8月23日(金)から公開となる本シーズン『ロミオとジュリエット』にも出演しているファースト・ソリストの金子扶生さんなど日本人ダンサーが多数在籍。日本人ダンサーの来シーズンにおける活躍も日本で見られるチャンス!シネマシーズンならではのスペシャルな映像も楽しめる、感動のバレエとオペラを、映画館の大スクリーンでぜひご堪能下さい。

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<『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/2020』全12演目>

・ロイヤル・オペラ『ドン・ジョバンニ』
・ロイヤル・オペラ『ドン・パスクワ-レ』
・ロイヤル・バレエ『コンチェルト』『エニグマ変奏曲』『ライモンダ第3幕』
・ロイヤル・バレエ『コッペリア』
・ロイヤル・バレエ『眠れる森の美女』
・ロイヤル・オペラ『ラ・ボエーム』
・ロイヤル・バレエ  キャシー・マーストン新作 リアム・スカーレット新作
・ロイヤル・オペラ『フィデリオ』
・ロイヤル・バレエ 『白鳥の湖』
・ロイヤル・オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』
・ロイヤル・バレエ 『ダンテ・プロジェクト』
・ロイヤル・オペラ『エレクトラ』

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2019.06.24

ロイヤル・バレエ『ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー』『メデューサ』『フライト・パターン』<タイムテーブルのご案内>

 

世界中で引っ張りだこの現代振付家3人による全く違った個性の、刺激的で、クオリティの高いダンスを堪能できるトリプル・ビル!

「ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー」は、「不思議の国のアリス」、「冬物語」、「パリのアメリカ人」と大ヒットを飛ばした現代の名匠、クリストファー・ウィールドンの2008年の作品。

新作「メデューサ」で初めてロイヤル・バレエに作品を創作して話題を呼んでいるシディ・ラルビ・シェルカウイは、日本でも「TeZukA」や「プルートゥ」などを演出し、大の日本の漫画好きとしても知られている。多様なバックグラウンドを持つ異才で、世界中でプロジェクトを同時進行させている。本作はギリシャ神話のメデューサの物語に基づく。

「フライト・パターン」は、カナダ出身の女性振付家クリスタル・パイトによる2017年初演の作品。本作は、戦乱から逃れようと困難な旅を続ける難民たちの姿を描いたパワフルで心に訴えかける作品で、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど高い評価を得た。パイト作品に多く見られる群舞を巧みに使い、36人のダンサーたちが忘れがたい印象を残す。

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ロイヤル・バレエ
『ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー』『メデューサ』『フライト・パターン』
<タイムテーブル>
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■『ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー』
【振付】クリストファー・ウィールドン
【音楽】エツィオ・ボッソ、アントニオ・ヴィヴァルディ
【衣装】ジャスパー・コンラン
【指揮】ジョナサン・ロウ
【出演】ベアトリス・スティクス=ブルネル/フランチェスカ・ヘイワード/サラ・ラム/
ワディム・ムンタギロフ/ヴァレンティノ・ズケッティ/アレクサンダー・キャンベル/
ハナ・グレンネル/金子扶生/マヤラ・マグリ/アナ=ローズ・オサリヴァン/アクリ瑠嘉/デヴィッド・ドネリー/テオ・ドゥブレイル/カルヴィン・リチャードソン

■『メデューサ』
【振付】シディ・ラルビ・シェルカウイ
【音楽】ヘンリー・パーセル
【電子音楽】オルガ・ヴォイチェホヴスカ
【衣装】オリヴィア・ポンプ
【指揮】アンドリュー・グリフィス
【出演】メデューサ:ナタリア・オシポワ/アテナ:オリヴィア・カウリー/ペルセウス:マシュー・ボール/ポセイドン:平野亮一
(ソプラノ)エイリッシュ・タイナン/(カウンターテノール)ティム・ミード/(ヴィオラ・ダ・ガンバ)市瀬礼子/(テオルボ)トビー・カー

■『フライト・パターン』
【振付】クリスタル・パイト
【音楽】ヘンリク・ミコワイ・グレツキ
【指揮】ジョナサン・ロウ
【出演】クリステン・マクナリー/マルセリーノ・サンベ/
カルヴィン・リチャードソン/ジョセフ・シセンズ/イザベラ・ガスパリーニ/ベンジャミン・エラ/アシュリー・ディーン
(ソプラノ)フランチェスカ・チエジナ

2019.06.12

オペラ『ファウスト』を初心者でもわかりやすく解説します

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石川了(クラシック音楽専門TVチャンネル「クラシカ・ジャパン」編成)

 

【名前だけは知っている、名前だけは聞いたことがある-原作「ファウスト」】
ゲーテの戯曲『ファウスト』(全2部)は、歴史の教科書にも登場する文学作品なので、タイトルだけでも知っている方は多いと思うが、実際に読んだことのある方はどれくらいいるだろうか。

悪魔メフィストフェレスに魂を売って永遠の若さを手に入れた老博士ファウスト。彼は清純な乙女マルグリートと恋に落ちるが彼女を捨て、彼の子を宿したマルグリートは生まれたばかりのわが子を殺し、牢に繋がれ錯乱。彼女の魂は神のもとに召されていく…。

なかなか陰惨な物語だが、実は自分も原作を読んだことがなく、数あるクラシック音楽から『ファウスト』を知ったというのが正直なところ。シューベルトの歌曲『糸を紡ぐグレートヒェン』(グレートヒェンとはマルグリートの愛称)やベルリオーズの劇的物語『ファウストの劫罰』、シューマンの『ゲーテのファウストからの情景』、ワーグナーの『ファウスト』序曲、リストの『ファウスト交響曲』、ボーイトの歌劇『メフィストーフェレ』、ブゾーニの歌劇『ファウスト博士』、マーラーの交響曲第8番『千人の交響曲』第2部など、『ファウスト』が作曲家に与えた影響の大きさは計り知れない。

【作曲家グノーと言えば「アヴェ・マリア」だけど・・・】
中でも、原作の第1部をオペラ化したグノーの歌劇『ファウスト』は、物語を知る上で、ロマンティックなメロドラマとして一番わかりやすい作品ではないか。

グノーといえば、バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲に旋律をかぶせた美しい『アヴェ・マリア』が有名だが、このオペラも本当に音楽が美しい。オルガンの響きは天国を描き、一方で単独でも演奏されるバレエ音楽「ワルプルギスの夜」は地獄を描くなど、その色彩豊かな音楽はドラマティック。

ファウストが歌う「この清らかな住まい」やマルグリートの「宝石の歌」、メフィストフェレスの「金の小牛の歌」といった有名アリアも満載で、どんなに劇的になってもフランス語の柔らかな響きが洗練されたリリシズムを生んでいる。音楽ファンなら一度は耳にしたことのある旋律にあふれているのだ。

【メフィストフェレスの七変化?】
この映像は、英国ロイヤル・オペラで2004年の初演以来5度目となる、スコットランド生まれのデイヴィッド・マクヴィカー演出プロダクションの再演。指揮は、東京フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者としておなじみのイスラエル生まれのダン・エッティンガー。 ファウストにはアメリカのテノール、マイケル・ファビアーノ。メフィストフェレスにはウルグアイ生まれのバリトン、アーウィン・シュロット。マルグリートにはロシアのソプラノ、イリーナ・ルング。

原作の舞台は16世紀ドイツだが、マクヴィカー版は普仏戦争の1870年代パリに設定。ファウストとマルグリートは“キャバレー地獄”で出会い、「ワルプルギスの夜」では白いチュチュのバレリーナたちが妊婦マルグリートを愚弄しながら踊り狂う。挑発的で演劇的、ミュージカルのような流れもあり、舞台装置は豪華絢爛。19世紀フランス・オペラを代表する「グランド・オペラ」のエッセンスを満喫できる。

特に、シュロットのメフィストフェレスは、ファウストとの丁々発止もテンポよく、ファッションショーのようなさまざまなコスチュームで大活躍。「ワルプルギスの夜」での黒の女王様姿には唖然とし、休憩時間のシュロットとエッティンガーの対談はまさにロック!さすが、あのアンナ・ネトレプコの元夫だけあって、そのイケメンぶりとニヒルな微笑みはメフィストフェレスにうってつけだ。

この9月に来日する英国ロイヤル・オペラの演目でもある『ファウスト』。来日公演に行く方には予習として最適だ。来日公演に行けない方は、映画館ならではの迫力の大画面と圧巻のサウンドをたっぷりとお楽しみいただきたい。

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