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2024.02.15

ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』現地メディア評

現地メディアからは数々の賛辞とともに高評価を頂いております!
ぜひこの機会にご鑑賞くださいませ。

★★★★★
THE TIMES

★★★★★
THE STAGE

★★★★★
SUNDAY MIRROR

★★★★★
EXPRESS

★★★★
THE GUARDIAN

★★★★
THE INDEPENDENT

★★★★
THE TELEGRAPH

★★★★
EVENING STANDARD

★★★★
BACHTRACK

2024.02.14

バレエ『くるみ割り人形』見どころをご紹介します。

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森菜穂美(舞踊評論家)

観る人誰もを幸せにする、ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』の魔法

冬の風物詩として、最も愛されるバレエ作品である『くるみ割り人形』。E.T.Aホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」をもとに1892年に誕生した本作は、チャイコフスキーの切なく美しい旋律と幻想的な雪の場面や華麗な各国の踊り、クリスマスを舞台にした少女のファンタジックな成長物語が人気を呼び、様々な振付作品が誕生してきた。

<ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』の魅力とは>

ロイヤル・バレエで570回以上も上演され愛されてきたピーター・ライト版は、1984年に初演。ホフマンの原作に登場する、ねずみ捕りを発明家のドロッセルマイヤーが発明したため、彼の甥ハンス・ピーターがねずみの女王の呪いでくるみ割り人形に姿を変えられてしまうというエピソードがプロローグで示される。ねずみの王様をやっつけた勇敢な少女クララに愛されることで呪いが解け、ハンス・ピーターが元の姿に戻ってドロッセルマイヤーの元に帰ってくるという物語性がはっきりしていることが、大きな魅力の一つとなっている。

多くの「くるみ割り人形」では、クララ役を子役ダンサーが踊り、2幕ではお菓子の国の祝宴のお客様として座っているだけという演出が主流だ。だがロイヤル・バレエのピーター・ライト振付『くるみ割り人形』では、クララと、くるみ割り人形から元の姿になったハンス・ピーターは、雪の場面や、お菓子の国における各国の踊り、さらには花のワルツの中でもパワフルに踊って、最初から最後まで大きな存在感を見せている。各国の踊りは、時代に合わせて改訂が加えられ、ロシアや中国のダイナミックな動きは特に観客を沸かせている。

<ライジング・スターが抜擢されるクララとハンス・ピーター役、若手日本人ダンサーも活躍>

クララ役やハンス・ピーター役は、若手の有望ダンサーが抜擢されることが多く、その中にはその後プリンシパルに昇格して、最後の金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥという主役を踊ることが多い。今回金平糖の精と王子を演じる、アナ・ローズ・オサリヴァンとマルセリーノ・サンベは、2019年のシネマで劇場公開された公演でこのクララ役、ハンス・ピーター役を演じ、その後プリンシパルに昇格した。

今回、クララを演じるのは、2018年に入団して以来、頭角を現しているソフィー・アルット。清楚な可愛らしさと共に知性も感じさせ、柔らかい動きが魅力的で卓越したクラシック技術を持つ。先だってシネマ上映された『ドン・キホーテ』ではキトリの友人役として大活躍した。ハンス・ピーター役には、若手ソリストのレオ・ディクソン。シネマ上映の『ドン・キホーテ』ではワイルドなロマの首領、また別の公演ではエスパーダ役でデビューも果たした期待の星だ。少女クララの憧れを体現したようなフレッシュな好青年ぶりと輝かしいテクニックで魅せている。これからの成長が期待される〝推し“を見つけることができるのもシネマの魅力である。

主役以外でも、スタイリッシュで渋い魅力を発揮している魔術師ドロッセルマイヤーのトーマス・ホワイトヘッド、アラビアではドキュメンタリー映画『バレエ・ボーイズ』に出演したルーカス・B・ブレンツロド、薔薇の精役の愛らしい実力派イザベラ・ガスパリーニなど注目ダンサーが多く登場している。

毎回日本人ダンサーの活躍を見ることができるのを楽しみにしている人も多いはず。冒頭、鮮やかな跳躍で目を奪うドロッセルマイヤーのアシスタント役は、2013年に世界最大のバレエコンクールであるユース・アメリカ・グランプリのホープアワードを10歳で受賞した五十嵐大地が演じている。五十嵐は今シーズン、ハンス・ピーター役にも抜擢されており成長が目覚ましい。1幕では兵士、2幕ではロシアを演じた中尾太亮は今シーズンソリストに昇進し、ハンス・ピーター役を演じているホープで、美しいつま先や高い跳躍が見もの。中尾と対で踊るヴィヴァンデール(人形)、そして花のワルツのリードを踊る佐々木万璃子は、金平糖の精、そしていよいよ4月には『白鳥の湖』で待望のオデット/オディール役を演じるなど、確実にプリンシパルへと近づいており、確かな技術のみならず華やかさも身につけてきた。

<金平糖の精のパ・ド・ドゥ、この上なく美しく甘く切ない踊りの秘密>

『くるみ割り人形』のクライマックスは、金平糖の精のグラン・パ・ド・ドゥ。クラシック・バレエの中でも究極のパ・ド・ドゥと言えるこの場面は、まるで天国にいるようなバレエの美の結晶である。甘く切ない旋律が胸を締め付けるが、チャイコフスキーが『くるみ割り人形』を作曲中に最愛の妹アレクサンドラを亡くし、その悲しみがこの曲に込められているという説もある。チャイコフスキーが、他の作曲家に知られないようにパリからロシアに持ち込んだチェレスタという鍵盤楽器の音色も、天国からの響きのようだ。「金平糖が床に飛び散るような」「ケーキの上のアイシングのような」キラキラした金平糖の精のソロ、王子の超絶技巧を詰め込んだソロ、コーダの高速回転など見せ場が満載だ。今回のシネマ上映では、ダーシー・バッセルが金平糖の精役のアナ・ローズ・オサリヴァン、王子役のマルセリーノ・サンベを指導する場面も登場するが、舞台上ではいともたやすく踊られているこの踊りが、いかに高度な技術や、細かい見せ方を計算して踊られているかがよくわかる。最高のダンサーだけが踊ることができるパ・ド・ドゥだ。

<ねずみの王様は隠れた主役>

『くるみ割り人形』の原作はE.T.Aホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」というわけで、ねずみの王様も非常に重要なキャラクターとなっている。今回のシネマ上映では、デヴィッド・ドネリーが演じるねずみの王様とくるみ割り人形、クララとの戦いの場面のリハーサルシーンも楽しめる。ねずみの被り物をかぶらないで踊るとこんな感じになるのか!という発見ができる。王様らしい威厳がありながらも、お茶目さも感じさせるねずみの王様はどこか憎めなくて、子どもの観客にも人気がある。コロナ禍の際には、このねずみと兵隊たちとの戦いの場面の振付が変更され、ねずみや兵士たちを演じる子役たちが出演しない演出になっていたが、2022年より従来の版に戻した。なお、雪の場面のコール・ド・バレエ(群舞)もコロナ禍の時の16人から24人に今回から増やされており、雪が舞い児童合唱の美しい響きの中で幻想的な舞を見せてくれる。

<世界中で愛される『くるみ割り人形』の中でも、ロイヤル・バレエ版は決定版>

ロイヤル・バレエで上演されているピーター・ライト振付の『くるみ割り人形』は数ある『くるみ割り人形』の中でも、物語がしっかりしているドラマチックさ、夢と冒険がいっぱいのファンタジックさ、華やかな金平糖の精の場面で最も人気のあるプロダクションの一つである。チケットも発売と同時にすべての公演が売り切れるほどだが、本拠地ロイヤル・オペラハウスでしか上演されていない。それを日本の映画館で観ることができるのが、このシネマシーズンの魅力だ。世界最高のロイヤル・バレエのトップダンサーによる、バレエの魔法に夢見心地の2時間35分を映画館で過ごしてほしい。

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2024.02.09

ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』タイムテーブルのご案内


ドラマティックな夢と魔法の世界へようこそ!

クリスマスの時期に世界中で上演される『くるみ割り人形』、その中でも決定版とも言われる英国ロイヤル・バレエのピーター・ライト版『くるみ割り人形』。チャイコフスキーの甘美な旋律に乗せ、魔法のように大きくなるクリスマス・ツリー、ねずみたちとの戦い、美しい雪の精たち、そしてお菓子の国で繰り広げられる華やかな宴、心温まる幕切れと見どころ満載。ロイヤル・バレエで 570 回以上上演され愛され続けている本作が、今年も世界中の皆さんの心を暖めてくれる。
(上演日:2023年12月12日)


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【振付】レフ・イワーノフに基づき ピーター・ライト
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【台本】E.T.Aホフマンに基づき マリウス・プティパ
【プロダクションと台本】ピーター・ライト
【美術】ジュリア・トレヴェリアン・オーマン
【照明デザイン】マーク・ヘンダーソン
【ステージング】クリストファー・カー、ギャリー・エイヴィス、サマンサ・レイン
【アラビアの踊り】ギャリー・エイヴィスが再振付
【指揮】アンドリュー・リットン
【コンサート・マスター】マグナス・ジョンストン
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

【出演】
金平糖の精:アナ・ローズ・オサリヴァン
王子:マルセリーノ・サンベ
ドロッセルマイヤー:トーマス・ホワイトヘッド
クララ:ソフィー・アルナット
ハンス・ピーター/くるみ割り人形:レオ・ディクソン

Act I
ドロッセルマイヤーの助手:五十嵐大地
キャプテン:ケヴィン・エマートン
アルルカン:テオ・デュブレイユ
コロンビーヌ:シャーロット・トンキンソン
兵士:中尾太亮
ヴィヴァンデール:佐々木万璃子
ねずみの王様:デヴィッド・ドネリー

Act II
スペイン:ハンナ・グレンネル、アイデン・オブライエン、マディソン・ベイリー、ジャコモ・ロヴェロ、マディソン・プリッチャード、ハリー・チャーチス
アラビア:オリヴィア・カウリー、ルーカス・B・ブレンツロド
中国:フランシスコ・セラノ、スタニスラウ・ヴェグリジン
ロシア:ジョシュア・ジュンカー、中尾太亮
葦笛の踊り:シャーロッド・トンキンソン、アメリア・タウンゼンド、ユー・ハン、ジネヴラ・ザンボン
薔薇の精:イザベラ・ガスパリーニ
薔薇の精のエスコート:デヴィッド・ドネリー、テオ・デュブレイユ、ハリソン・リー、ジョセフ・シセンズ
花のワルツのリード:レティシア・ディアス、イザベル・ルーバック、ジュリア・ロスコ―、佐々木万璃子

2024.01.30

バレエ『ドン・キホーテ』アンコール上映決定!

大変ご好評につきまして、TOHOシネマズ 日本橋にてアンコール上映が決定致しました!
お見逃しなくぜひご鑑賞くださいませ。

〈上映スケジュール〉
■2/2(金)
→19:20~の回

■2/3(土)
→12:35~の回

■2/4(日)
→12:25~の回

■2/5(月)~2/8(木)
→19:20~の回

★詳しくはこちらへ
https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/073/TNPI2000J01.do

2024.01.24

バレエ『ドン・キホーテ』見どころをご紹介します。

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森菜穂美(舞踊評論家)

<世界的なスーパースターが振り付けた、生き生きとして楽しい>

ロイヤル・バレエの2023-24シネマシーズンのオープニングを飾るのは、カルロス・アコスタが振り付けた『ドン・キホーテ』です。

『ドン・キホーテ』はあらゆるクラシック・バレエ作品の中でも最も明るく楽しいラブコメディで、華やかな超絶技巧もふんだんに盛り込み、スペインの生き生きと情熱的なパワーにあふれています。バレエ初心者でも、そのパワフルさと華麗な魅力に思わず引き込まれてしまう傑作です。

バルセロナの街角を舞台にした『ドン・キホーテ』は、『白鳥の湖』他で知られる巨匠マリウス・プティパが20代の頃、マドリッド王立劇場と契約し、スペインで過ごして闘牛やキャラクターダンスに夢中になった体験が生かされています。街の踊り子、闘牛士、ファンダンゴ、ロマの踊りなど多彩なキャラクターやエキゾチックな踊りが、作品に生き生きとした魅力的な味わいを加えています。

振付のカルロス・アコスタはキューバ出身で、1990年にローザンヌ国際バレエコンクールでゴールドメダルを受賞後98年にロイヤル・バレエに入団。ローレンス・オリヴィエ賞を受賞し、ボリショイ・バレエにも客演するなど国際的なスターダンサーとして活躍し、2013年の『ドン・キホーテ』初演では自ら主人公バジル役を演じました。ロイヤル・バレエでの引退公演は映画館で中継されました。現在はバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督を務めながら、故国キューバでも自身のカンパニー、アコスタ・ダンサを率いています。

そして、本作がアコスタにとって初のロイヤル・バレエの振付作品となりました。彼にとって重要なのは、登場人物たちの個性であり、バレエのステロタイプに囚われず一人一人が生身の血の通った人間として描かれています。そのため、この『ドン・キホーテ』では登場人物たちが台詞を叫ぶ場面があり、ダンサーたちは床の上だけでなく、テーブルやワゴンの上でも踊ります。また、一般的な『ドン・キホーテ』のバレエにある人形劇の場面をカットし、代わりにロマの野営地では、舞台上でラテン音楽のミュージシャンが生演奏するキャンプファイヤーの場面を加えました。ストリート・キッズが広場を駆け回るのもこの版ならではの楽しさです。なお、アコスタがこの版に手を加えた『ドン・キホーテ』をバーミンガム・ロイヤル・バレエで上演しているのですが、こちらでは男性ダンサーがキューピッドを演じています。

舞台美術を担当したのは、ナショナルシアターやウェストエンドで活躍しているティム・ハトリー。「まるで舞台装置がダンサーと共に踊っているみたい」とアコスタに評されたように、舞台装置が動くことで場面転換がスムーズに行なわれ、まるで本のページをめくるように物語が進んでいきます。

<若手中心ながら要所にはベテランを配した、綺羅星のような出演陣>

ヒロインの町娘キトリを演じるのは、2011年にローザンヌ国際バレエコンクールで優勝したマヤラ・マグリ。高度なテクニックを持ちながらも、近年は『ザ・チェリスト』で夭折の天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ役や、『赤い薔薇ソースの伝説』では敵役ともいえるヒロインの姉役を陰影のある演技で好演しました。ブラジル出身ならではの天性の明るさと安定した技巧がこの役にぴったりです。夢の場面での、一転してエレガントで軽やかなドルシネア姫との演じ分けにもぜひご注目してみてください。
キトリの恋人、床屋のバジルは人気の高い英国出身のマシュー・ボールが演じます。端正な容姿で、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』では男性の白鳥を演じるなど様々な舞台にチャレンジしているボールは、私生活ではマグリとカップルで、二人の息はぴったり。コミカルな掛け合いが自然で、片手リフトなどのパートナーリングも見事に決まり、最後のグラン・パ・ド・ドゥではダイナミックな跳躍を見せています。

伸び盛りの若手ダンサーを発見できるのも、シネマシーズンならではのお楽しみです。街の人気者の闘牛士エスパーダをスタイリッシュに色気たっぷりに演じているのは、人気上昇中の若手ファースト・ソリスト、カルヴィン・リチャードソン。『くるみ割り人形』では王子を踊り、『マノン』では主役の一人デ・グリュー役を演じる予定になっているなど、次期プリンシパル有力候補です。小粋な街の踊り子役には今シーズン『くるみ割り人形』の金平糖の精役にデビューしたレティシア・ディアス。夢の場面で優雅な踊りを見せる美しいプロポーションのアネット・ブヴォリも、同じく金平糖の精の他、『シンデレラ』の仙女や『ジゼル』のミルタ役などの主要な役を経験し、次世代のスターとして注目されています。
キトリの二人の友人役には、日本出身で今シーズンはソリストに昇進し躍進が期待される前田紗江と、『ドン・キホーテ』に続くシネマシーズンの『くるみ割り人形』でクララ役を演じる若手のソフィー・アルナットが起用されています。伸びやかで小気味よい踊りの前田、愛らしいアルナットの二人は踊りも見事にシンクロしていて、作品にキュートなスパイスを加えています。ドン・キホーテの従者サンチョ・パンサ役は、これまた注目の若手のリアム・ボズウェルが初役で挑みました。

これら若手ダンサーの活躍と共に、作品を引き締めるのは、ドン・キホーテ役を演じるバレエ団を代表する名役者ギャリー・エイヴィスです。日本のKバレエ・カンパニーの創立メンバーでもあったエイヴィスは、ロイヤル・バレエに復帰後、数々のキャラクターロールで名演を重ねてきました。現在はシニア・レペティトゥールとして振付指導を行いながらも、舞台では強烈な存在感を放っています。バレエ『ドン・キホーテ』でタイトルロールは脇役として見られがちですが、エイヴィスの気品あふれる演技によって、高潔な人格を持つロマンティックな老紳士としてのキホーテのキャラクターが立ち上ってきます。
また注目したいのが、キトリに求婚する金持ちの貴族、ガマーシュをジェームズ・ヘイが演じていること。磨かれたクラシック技術を持ち、『眠れる森の美女』では王子を演じるなど貴公子役も得意とするヘイが、嫌味で少し間の抜けた貴族役をユーモラスに演じる姿が見られる、希少な機会となっています。最後にガマーシュも新しい幸せをつかむところが、アコスタの優しさを感じさせる心憎い演出です。

なお、今回のシネマで上映された公演には、英国王チャールズ3世とカミラ王妃も臨席し、彼らが客席から拍手で迎えられる場面も見ることができます。シネマシーズンで中継された公演に英国王が臨席するのは初めてのことでした。チャールズ国王はロイヤル・オペラハウスのパトロンとして支援をしており、カミラ王妃は自身も大人バレエを習っているバレエ好きとして知られています。憂鬱な気分を吹き飛ばし、ひと時の笑いと興奮と情熱に身を任せることができる至福の3時間。ロイヤル・バレエが誇るトップダンサーたちの華麗な饗宴をぜひお楽しみください。

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2024.01.22

ロイヤル・バレエ『ドン・キホーテ』タイムテーブルのご案内


クラシック・バレエの美を堪能できる、明るくエネルギッシュな『ドン・キホーテ』
ドン・キホーテ役は日本でも人気のギャリー・エイヴィスが務めます!

元プリンシパルで世界的なスターのカルロス・アコスタ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ芸術監督)が2013年に振付けを担当。ガラ公演でも頻繁に上演される3幕の結婚式の華やかなパ・ド・ドゥには、32回転のグラン・フェッテ、男性ダンサーのダイナミックな跳躍など見せ場がたっぷりある一方で、2幕の夢の場面では、森の女王や妖精たち、キューピッドが登場して美しくファンタジックなクラシック・バレエの粋が味わえる。バレエを初めて観る人にとっても、明るくエネルギッシュな『ドン・キホーテ』は退屈する瞬間が全くなくてお勧めできる一作。
世界最高峰の英国ロイヤル・バレエの選りすぐったスターダンサーたちがテンポよく繰り広げるラブ・コメディと磨き抜かれた妙技の数々をぜひお楽しみください。
(上演日:2023年11月7日)


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【振付】カルロス・アコスタ、マリウス・プティパ
【音楽】レオン・ミンクス
【デザイナー】ティム・ハットリ―
【照明】ヒューゴ・バンストーン
【ステージング】クリストファー・サンダース
【指揮】ワレリー・オブシャニコフ
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

【出演】
ドン・キホーテ:ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ:リアム・ボズウェル
ロレンツォ(キトリの父):トーマス・ホワイトヘッド
キトリ:マヤラ・マグリ
バジル:マシュー・ボール
ガマーシュ(金持ちの貴族):ジェームズ・ヘイ
エスパーダ(闘牛士):カルヴィン・リチャードソン
メルセデス(街の踊り子):レティシア・ディアス
キトリの友人:ソフィー・アルナット、前田紗江
二人の闘牛士:デヴィッド・ドネリー、ジョセフ・シセンズ
ロマのカップル:ハンナ・グレンネル、レオ・ディクソン
森の女王:アネット・ブヴォリ
アムール(キューピッド):イザベラ・ガスパリーニ
ファンダンゴのカップル:ミーシャ・ブラッドベリ、ルーカス・B・ブレンスロド

2024.01.19

ロイヤル・バレエ『ドン・キホーテ』現地メディア評

ロイヤル・バレエの新シーズン開幕の夜はいつも気分が高揚する。幕開けを飾る演目が『ドン・キホーテ』となれば、そうならないわけがない。
The Times
(BY DEBRA CRAINE/OCTOBER 2, 2023)

★★★★
陽気さ、大勢によるアンサンブルの楽しさとエネルギー、まばゆいばかりのテクニックのショーケース
The Guardian
(BY LYNDSEY WINSHIP/OCTOBER 1, 2023)

『ドン・キホーテ』はロイヤル・バレエの2023年冬シーズンの幕開けを飾る作品であり、その崇高な選択が証明された。
London Unattached
(BY FIONA MACLEAN/OCTOBER 1, 2023)

★★★★
星を1つ減らしたとしても、あまりの楽しさにもう1つ星をつけなければならない。
Financial Times
(BY LOUISE LEVENE/OCTOBER 2, 2023)

ダンサーの華麗さと、ティム・ハットリーの見事なセットによって、10月の雨のロンドンから活気あふれるスペインの夏へといざなう。
Morning Star
(OCTOBER 13, 2023)

★★★★
活力に満ちている
THE STAGE
(BY SIOBHAN MURPHY/OCTOBER 2, 2023)

カルロス・アコスタが1869年のバレエに遊び心と熱意を込めて挑んだこの作品は、動きと音楽の楽しいマリアージュである。
THE NEW STATESMAN
(BY ZUZANNA LACHENDRO/OCTOBER 20, 2023)

2023.12.14

オペラ『ラインの黄金』を初心者でもわかりやすく解説します

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井内美香(オペラ・キュレーター)

英国ロイヤル・オペラが満を持して挑んだ『指環』に絶賛の嵐

英国ロイヤル・オペラ・ハウスのシネマ・シーズンに、ついに最強の演目が現れた。ワーグナーの四部作『ニーベルングの指環』の序夜《ラインの黄金》である。『指環』は世界中の歌劇場でもっとも人気のある演目の一つだが、壮大な世界観を描いた大作であるゆえに、上演する劇場側も覚悟を持って臨まねばならない作品だ。
英国ロイヤル・オペラは、開幕公演として9月に《ラインの黄金》を上演した。これから一年に一作ずつ『指環』を上演していく予定である。長年務めた音楽監督の役割が今シーズンで最後となるアントニオ・パッパーノは、最後のシーズン・オープニングにこの演目を指揮することを選んだ。演出を担ったのは、オペラ界で最も注目度が高い演出家の一人、バリー・コスキーである。同劇場で『指環』が新制作されるのは19年ぶりだ。
蓋を開けると、この新制作は大評判となり、世界中のジャーナリストから絶賛された。「キャストは弱い歌手が見つからず全員が素晴らしい出来栄えで、パッパーノ指揮はワーグナーの壮大さと緻密さの両方を見事に表現した(ガーディアン紙)」「バリー・コスキー演出の《ラインの黄金》は不気味で、鮮やかで、強烈だ(ニューヨーク・タイムズ紙)」「《ラインの黄金》が、アントニオ・パッパーノの指揮で開幕し、物語性の高い、起伏ある演奏が空前絶後の賛辞を受けた(音楽の友誌)」といった具合である。

強烈なコスキー演出

ワーグナー『指環』の特徴は、神々と人間の雄大な物語と、それを表現する、見事な織物のように織り上げられた音楽である。神々の傲慢から世界が滅亡の危機に陥るというストーリーは、さまざまな解釈が可能であり、演出家の腕の見せ所となっている。
コスキーはオーストラリア出身ユダヤ系の演出家だ。インタビューなどで「僕はユダヤのゲイのカンガルー」と自らを形容していることからも分かるように、人間の本質を痛烈な表現で観客に突きつける演出が持ち味である。
ここからは演出の内容を少しだけ紹介したい。《ラインの黄金》は、“愛を諦めた”醜い地底人アルベリヒによって作られた、権力の象徴であり呪いがかかった黄金の指環によって神々の世界の終わりが始まるという内容だが、コスキー演出では、冒頭部分から(俳優が演じる)白髪を長く伸ばし、痩せ衰えたひとりの老女が全裸と見える格好で、よろよろと舞台を横切るところから始まる。
この老女はオペラが上演されている間、舞台にずっと存在している。彼女は実は『指環』の要となる登場人物の一人、大地(=地球)の女神エルダだ。傲慢な神々の長年の行いが大地を荒らし、エルダはこのような姿になってしまっているのである。最後の方にエルダが歌う場面があるが、俳優が照明に照らされている間、オペラ歌手は暗がりの中から歌う。
神々は乗馬服のようなハイソサエティの格好をしている。一方、神々のために城を建設した巨人族はヤクザ者のようなスーツと身のこなし。そして地底に住むニーベルング族のアルベリヒとミーメは貧しい身なりで、恐ろしい顔の被り物をつけた子役たちがさらに虐げられた労働者を演じる。
これはまるで現代社会を鏡で写しているようではないか?コスキー演出は『指環』の世界を、今の人間社会が地球を破壊している様子に見事に重ねているのである。

パッパーノ指揮の元、望みうる最高のキャストが集結

英国ロイヤル・オペラのオーケストラを知り尽くしたパッパーノの指揮も、かつてないほどにパワフルだ。その一方で、次作以降にも重要となるライトモチーフ(物語のさまざまな事象を示す音楽的なモチーフ)群が巧みに鳴らされるのを聴くと、今後の展開への期待に胸がワクワクする。
歌手たちも強力だ。神々の長ヴォータンを歌ったのはクリストファー・モルトマン。はっきりとキャラクターを打ち出した力強い歌唱で魅了した。アルベリヒのクリストファー・パーヴェスは、ヴォータンと同じように欲望にまみれているが、神々と違って何も持たずに生まれてきた不幸な男を迫力を持って演じている。その他の登場人物にも、ワーグナーを上演するのに理想的なキャストが集結している。
《ラインの黄金》で提示された世界観は今後、どのように変化していくのだろうか?それを最大限に楽しむためにも、まずは今回の上演を見逃がさないようにしたい。

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2023.12.11

ロイヤル・オペラ『ラインの黄金』タイムテーブルのご案内

 

新シーズンのオープニングを飾るのは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』にも影響を与えたとされる
ワーグナー畢生の大作『ニーベルングの指環』全四部作の「序夜」にあたるオペラ『ラインの黄金』

アントニオ・パッパーノ指揮、バリー・コスキー新演出で大胆に解釈した《ラインの黄金》。ロイヤル・オペラ・ハウスが4年かけて上演する、ワーグナー四部作『ニーベルングの指環』の第一章が幕を開ける!
オーストラリア出身のバリー・コスキーは現代演劇の考えと手法をオペラに大胆に持ち込み、時にはかなりの物議を醸しつつも、今や世界でもっとも忙しいオペラ演出家の一人。英国ロイヤル・オペラはワーグナーの四部作『ニーベルングの指環(リング)』の待望の新制作をコスキーにゆだねた。指揮は音楽監督としては今シーズンが最後の年となるパッパーノ。序夜《ラインの黄金》の初日が開くと、プレスと観客両方からの絶賛の嵐となった。
(上演日:2023年9月20日)


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【音楽・台本】:リヒャルト・ワーグナー
【指揮】:アントニオ・パッパーノ
【演出】:バリー・コスキー
【美術】:ルーフス・デイドヴィスス
【衣装】:ヴィクトリア・ベーア
【照明】:アレッサンドロ・カルレッティ
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

【出演】
ヴォータン:クリストファー・モルトマン
アルベリヒ:クリストファー・パーヴェス
ローゲ:ショーン・パニッカー
フリッカ:マリーナ・プルデンスカヤ
フライア:キアンドラ・ハワース
エルダ(の声):ウィープケ・レームクール
ドンナー:コスタス・スモリギナス
フロー:ロドリック・ディクソン
ミーメ:ブレントン・ライアン
ファーゾルト:インスン・シム
ファーフナー:ソロマン・ハワード
ヴォークリンデ:カタリナ・コンラディ
ヴェルグンデ:ニアフ・オサリバン
フロスヒルデ:マーヴィック・モンレアル
エルダ(俳優):ローズ・ノックス=ピーブルス

2023.12.07

ロイヤル・オペラ『ラインの黄金』現地メディア評

★★★★
整然とした演出は、コスキーのリング・サイクルの魅力的なスタートとなった。
大地の女神エルダの姿が終始登場し、自然界の荒廃というメッセージは明確だ。一様に強力なキャストに弱点はなく、ピットではパッパーノがワーグナーの壮大さと親密さを表現している。
The Guardian
(byAndrew Clements)

★★★★
バリー・コスキーは、4年にわたる新しいリング・サイクルの第1弾として、豪華さを抑え、より本質的なワーグナーのスペクタクルを創り上げた。
The Telegraph
(By Nicholas Kenyon/12 September 2023)

バリー・コスキーによるワーグナーの『ラインの黄金』は、4つのオペラからなる叙事詩の始まりであり、不気味で鮮やかで強烈だ。
The New York Times
(By Zachary Woolfe/12 September 2023)

演出家バリー・コスキーと指揮者アントニオ・パッパーノは、ロンドンの舞台で鮮やかで説得力のあるショーを作り上げた。
Financial Times
(by Richard Fairman/ SEPTEMBER 12 2023)

★★★★
これは、今後数年間にわたって展開されるリングを味わうものになるかもしれない。
クリストファー・モルトマンは真に偉大なヴォータンへの道を歩んでいる。
Evening Standard
(by BARRY MILLINGTON/12 SEPTEMBER 2023)