| 項目 | 時間 |
|---|---|
| ■解説+インタビュー | 20分 |
| ■第1幕 | 57分 |
| 休憩 | 6分 |
| ■解説+インタビュー | 19分 |
| ■第2幕、カーテンコール | 59分 |
| 上映時間:2時間41分 | |
本編中に一部ノイズがございます。
公演撮影時に生じたものとなりますため、大変恐れ入りますがご了承頂けますと幸いです。
2026.05.18
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| ■解説+インタビュー | 20分 |
| ■第1幕 | 57分 |
| 休憩 | 6分 |
| ■解説+インタビュー | 19分 |
| ■第2幕、カーテンコール | 59分 |
| 上映時間:2時間41分 | |
本編中に一部ノイズがございます。
公演撮影時に生じたものとなりますため、大変恐れ入りますがご了承頂けますと幸いです。
2026.05.14
コラム
ヴァージニア・ウルフの3つの代表作が、現代の古典と呼ばれる斬新な傑作バレエ作品に
20世紀の最も偉大な小説家の一人と評価されるヴァージニア・ウルフの世界を3つの代表作を通して描いた『ウルフ・ワークス』。映画『めぐりあう時間たち』(ニコール・キッドマンがウルフ役を演じてアカデミー賞主演女優賞を受賞)でも描かれた彼女の人生と作品を、ロイヤル・バレエの常任振付家であるウェイン・マクレガーが2015年にロイヤル・バレエのために振り付けた本作は、現代バレエの世界を変えた革命的な最高傑作として熱狂的に評価されました。人間の脳の働きがどのようにダンスの動きへと伝わっていくかという科学技術的な研究を通じて、斬新な振付作品を生み出してきたマクレガーが生んだこの傑作はローレンス・オリヴィエ賞と英国舞踊批評家協会賞を受賞し、ロイヤル・バレエで3度にわたってリバイバルされただけでなく、ミラノ・スカラ座バレエやアメリカン・バレエ・シアター、ウィーン国立バレエなど世界を代表するバレエ団でも上演されています
20 世紀の最も画期的な作家の一人であるヴァージニア・ウルフは、文学の慣習に逆らい、彼女の衝撃的で痛烈な現実である豊かな内面世界を描写しました。伝統的な物語の語り口から離れた『ウルフ・ワークス』は、彼女の代表作『ダロウェイ夫人』、『オーランドー』、『波』からテーマをコラージュし、ウルフの「意識のながれ」という文体を呼び起こしました。
3つのパートがそれぞれ全く違った作風のダンス作品となっているのが本作のユニークなところです。『ダロウェイ夫人』をモチーフにした『I now, I then』は物語性の高い演出でナタリア・オシポワが演じる主人公と、彼女の記憶の中の人々を描きます。性転換しながら400年生きた青年貴族の数奇な運命を描いた『オーランドー』(ティルダ・スウィントン主演の映画でも知られています)に基づく『ビカミングス』は、マクレガーらしいハイスピードの近未来的な動きの連なりと照明がスタイリッシュで金子扶生らの活躍が見ものです。『波』をバレエ化した『火曜日』は、ウルフの遺書の朗読の後、ウルフ役のオシポワがウィリアム・ブレイスウェルとのデュエットから波のような群舞に融合し、やがて死を迎えますが、詩的で美しい余韻を残します。本作のために委嘱されたマックス・リヒターによるドラマティックな旋律とサウンドスケープも忘れがたい印象を残します。
<傑作の誕生は、他ジャンルのトップクリエイターとのコラボレーションによるもの>
「魅惑的な感情と過激な知的意図に満ちたバレエ」(ガーディアン紙)としての『ウルフ・ワークス』の絶大な力は、その芸術チームの強力な想像力にあります。振付家兼演出家であるウェイン・マクレガーは、コラボレーションの達人かつ革新者として名声を確立しています。伝統的な慣習に挑み、他メディアと融合し、多様な創造者たちと協働することで芸術の境界を押し広げてきました。
ロイヤル・バレエではコンテンポラリーダンスの振付家として初の常任振付家であるマクレガーは、『クローマ』『インフラ』などの中編作品で成功を収めてきましたが、『ウルフ・ワークス』は彼がロイヤル・バレエのために振り付けた初の全幕作品でした。2015年の初演では、元プリンシパルで伝説的なバレリーナのアレッサンドラ・フェリ(現ウィーン国立バレエ芸術監督)が、50代でのバレエ団への復帰を果たしてヴァージニア・ウルフ役を創作、初演して、舞踊批評家協会の最優秀女性ダンサー賞と、オリヴィエ賞のダンスにおける傑出した功績賞を受賞しました。
『ハムネット』で今年のアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、同世代で最も影響力のある作曲家のマックス・リヒター、高名な建築事務所 Ciguë(シグー) と We Not I、照明デザイナーのルーシー・カーター、ロンドン・パラリンピック開会式の衣裳を担当した衣裳デザイナーのモリッツ・ユンゲ、映像デザイナーのラヴィ・ディープレス、メイクアップデザイナーのKABUKI、ドラマトゥルグのウズマ・ハミードという輝かしいチームをマクレガーは率いて、現代バレエの最高傑作を生みだしました。
<マックス・リヒターが本作のために作曲した圧巻のスコア>
『ウルフ・ワークス』のためにマクレガーは著名な作曲家マックス・リヒターに新しいスコアを委嘱しました。リヒターは、マクレガーと長年にわたってコラボレーションを行ってきており、ともにバレエ作品『インフラ』やリヒターの室内楽オペラ『Sum』を創作しています。またリヒターとマクレガーは、もう一人の著名な女性作家マーガレット・アトウッドの33つの作品に基づく終末後の世界を描くバレエ『MaddAddam』(カナダ国立バレエとの共同制作で、ロイヤル・バレエでも2024年に上演)でコラボレーションを行いました。
『ウルフ・ワークス』のためにリヒターはオーケストラと電子音響を融合させ、魅惑的で絶え間なく展開する音楽素材とスリリングなサラウンドサウンドの間を行き来する楽曲を創り出しました。リヒターはウルフの手紙、日記、エッセイの断片を音楽に織り込み、小説家の声を捉えています。
<ウルフの「意識のながれ」手法をバレエ作品に>
ドラマトゥルグのウズマ・ハミードは、本作の創作にあたって公演プログラムに以下のことを記述しています。
「ウルフ自身がダンスに魅了され、その言語の要素を自らの創作プロセスに取り込み、脳だけでなく感情と身体に根ざした文章を生み出したこと。さらに彼女の小説は生活の表層的な詳細から、心の中で絶え間なく展開される豊かな内面の物語へと焦点を移しています。彼女は私たちを、できごとが時系列ではなく主題的に連なり、感情と感覚の織り成す世界が、もろい物体の世界よりも濃密に感じられる世界へと没入させる。これらすべてが、ダンスの自然な領域と見なせるでしょう。」
ウルフが自身のエッセイ『職人の技術(クラフツマンシップ)』を朗読した唯一の現存する音声記録が、バレエの冒頭で楽曲内の語り部セクションの一つとして使用されています。女優のジリアン・アンダーソンが「世界で最も美しい遺書」として知られているウルフの遺書を朗読し、英国演劇界を代表する偉大な女優マギー・スミスがウルフの文章の一節説を朗読する音声も使用されています。
このようにして、ヴァージニア・ウルフの高度に洗練された世界を再現したバレエが誕生しました。
<ヴァージニア・ウルフの世界を体現する、ロイヤル・バレエのスターダンサーたち>
今回のシネマでは、第1部『ダロウェイ夫人』パートでアレッサンドラ・フェリが演じた、ウルフの分身でもあるクラリッサ役を、現代最高のバレリーナであるナタリア・オシポワが演じ、深みのある演技と共にマクレガー特有の複雑な動きを劇的に演じています。クラリッサの少女時代は前田紗江が生き生きと演じ、同性の恋人サリーを演じるレティシア・ディアスとの情熱的なキスシーンが印象的です。クラリッサの過去の恋人ピーターをウィリアム・ブレイスウェル、クラリッサの夫リチャードを来シーズンよりプリンシパルとしてロイヤル・バレエに入団する話題の新スター、パトリシオ・レーヴェが演じます。戦争のトラウマに苦しむ兵士セプティマスはマルセリーノ・サンベが熱演。上官でセプティマスとのデュエットを踊るエヴァンス役をマルコ・マシャーリ、そしてセプティマスの妻レツィアを高田茜が繊細に演じています。
第2部の時代とジェンダーを乗り越えて400年生きた美しき青年貴族を描いた『オーランドー』にインスパイアされた現代的でスタイリッシュな『ビカミングス』では、アクリ瑠嘉、金子扶生、クレア・カルヴァート、レティシア・ディアス、前田紗江、高田茜、中尾太亮、マルセリーノ・サンベらがSF映画の中にいるようなにレーザー光線の中で縦横無尽に時空を超えて、切れ味鋭く踊ります。中心的なパートは、金子扶生がサンベと共にきらびやかでダイナミックな超絶技巧を披露し、鮮烈な印象を残します。
そして第3部『波』に基づく『火曜日』では、名女優マギー・スミスの朗読から始まり、ジリアン・アンダーソンによるウルフのエモーショナルな遺書の朗読に続き、ウルフ役のナタリア・オシポワが子役を含む群舞のダンサーたちによって描かれる波や夫役ウィリアム・ブレイスウェルの腕の中で揺れるように踊り入水自殺による最期の時を迎えます。
プリンシパルが5人出演し、さらに日本人ダンサーも多数活躍するなど、豪華キャストも見どころの一つです。
「何よりも、このバレエを観ることをウルフの作品を読むような感覚に近づけたかったのです。彼女の世界の輝き、響き、切なさと彼女のビジョンの現代性を伝えるために」というハミッド[m1.1]の言葉通り、ヴァージニア・ウルフの作品世界を、ロイヤル・バレエのトップスターたちによる現代バレエの最高傑作で堪能する『ウルフ・ワークス』。文学と最先端のバレエが融合した総合芸術を、マックス・リヒターの音楽と共にスクリーンで味わってください。
2026.04.20
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| ■解説+インタビュー | 19分 |
| ■第1幕 | 34分 |
| 休憩 | 15分 |
| ■解説+インタビュー | 15分 |
| ■第2幕 | 39分 |
| 休憩 | 13分 |
| ■解説+インタビュー | 14分 |
| ■第3幕、カーテンコール | 34分 |
| 上映時間:3時間3分 | |
本編中に一部ノイズがございます。
公演撮影時に生じたものとなりますため、大変恐れ入りますがご了承頂けますと幸いです。
2026.04.02
コラム
ヴェルディ『椿姫』が描きたかったもの
今年の冬季オリンピックは、落ち着かない国際情勢の中、多くの感動をもたらし、人々の心にあかるい光を灯した。ミラノ・コルティナという2都市の名を冠した初めての五輪であり、開会式も四ヶ所に分散して行われた。一方、閉会式はヴェローナの古代闘技場アレーナ・ディ・ヴェローナが会場に選ばれた。アレーナ・ディ・ヴェローナは毎年夏に野外オペラ音楽祭の会場となり、世界中から観光客がつめかける。そのためか、2月22日(現地時間)の閉会式は、まるでスポーツではなくオペラとバレエの祭典のようだった。舞台裏では忙しく歩き回る責任者が『アイーダ』『蝶々夫人』などと書かれた楽屋の扉をノックし、廊下ではリゴレットの扮装をした俳優がスタンバイしている。そして、広大なステージに18世紀ロココ風の衣裳をまとった楽士たちが現れると、ヴェルディの『椿姫』が奏でられ、式典が始まった。
『椿姫』を作曲したヴェルディがこの光景を見たら異議を唱えたかもしれない。というのも、このオペラは19世紀に社会から疎外された女性の〈愛と死〉を同時代の物語として描いた作品であり、宮廷風のファッションとは何の関係もないはずだからである。だが実は、オリンピックの演出はあながち的外れではない。1853年にヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場でこのオペラが初演された際、当時の現代という設定のままでは検閲を通らないとされ、『椿姫』はリシュリュー政権下のフランス風の衣裳で演じられたのだから。真実は人々の心にトゲのように刺さるものであり、それを見たくないという心理は常に存在するのである。
英国ロイヤル・オペラにおいて1994年の初演以来上演を重ねてきたリチャード・エア演出の『椿姫』は、長く愛されてきたことが納得できる優れたプロダクションだ。美しいが決して派手すぎない舞台と衣裳、台本に忠実で奇をてらわないリアルな演出は、この作品の本質を的確に表現している。
それに加えて今回は、エルモネラ・ヤオが奇跡のようなヴィオレッタを演じた。アルバニア出身のソプラノ歌手ヤオはヨーロッパを中心に一流歌劇場に出演し続けているが、とりわけ英国ロイヤルの観客に愛されている。ヤオは没入型の演技で知られ、プッチーニの『蝶々夫人』『修道女アンジェリカ』『トゥーランドット』(リュー)などを得意としているが、それにも増してヴェルディ『椿姫』のヴィオレッタを最大の当たり役としており、これまでに舞台で300回も歌っているという。実際、映像作品としても、エア演出の舞台が英国ロイヤルで1994年に初演された際のアンジェラ・ゲオルギュー、2009年のルネ・フレミングに続き、2019年にヤオが歌った『椿姫』も映像化され、高い評価を得ている。だがそのときと比べても、今年1月に上演された今回の『椿姫』におけるヤオは、彼女自身を軽々と超えている。まず声が美しい。成熟した深みのある響きをまとい、ドラマティックな表現から声量をぐっとしぼったピアニッシモまで自在に操るテクニックは見事の一言だ。ヴィオレッタの心理が手に取るように伝わる。しかもオペラが後半に進むにつれて表現力はさらに増し、最後の場面の迫力は圧倒的だ。何度観たか分からないこのオペラの結末で、自然と涙があふれてくる。
また今回は指揮と共演者も特筆に値する。2019年に続いてタクトを取ったアントネッロ・マナコルダは円熟味を増し、歌手たちからドラマを最大限に引き出しつつ、推進力のある音楽づくりを実現している。アルフレードのジョヴァンニ・サラはイタリアの若手テノールで、初々しさと自然な演技がこの役に理想的である。父ジェルモンのアレクセイ・イサエフも、堂々とした体躯にふさわしい豊かな声を聴かせる。他のキャストや合唱も、演劇の国イギリスならではの表現力で、目と耳を奪う。この『椿姫』は、英国ロイヤルの長年の歴史の中でも、とびきりのプロダクションとして人々の記憶に残るだろう。
2026.04.01
バーミナ役で出演を予定しておりましたジュリア・ブロックは体調不良のためやむなく降板致しました。
ルーシー・クロウが同役を務めております。
ご了承の程どうぞ宜しくお願い致します。
2026.02.24
大変ご好評をいただきまして、TOHOシネマズ 日本橋にて延長上映が決定致しました!
~3/5(木)まで
★上映スケジュールは劇場HPをご覧ください
https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/073/TNPI2000J01.do
2026.02.19
コラム
ロンドンの冬の風物詩『くるみ割り人形』の魔法
日本出身の中尾太亮がくるみ割り人形役で活躍の舞台、ドラマティックな夢と魔法の世界へようこそ!!
冬の風物詩として子どもから大人まで最も愛されるバレエ作品である『くるみ割り人形』。E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」をもとに1892年に誕生した本作は、チャイコフスキーの切なく美しい旋律と幻想的な雪の場面や華麗な各国の踊り、クリスマスを舞台にした少女のファンタジックな成長物語が人気を呼び、様々な振付作品が生まれてきました。先日のパリ・オペラ座バレエによるルドルフ・ヌレエフ版『くるみ割り人形』を映画館で楽しまれた方も多いと思いますが、バージョンによる違いに驚かされた方も多いのではないでしょうか。
昨年はロイヤル・バレエでは珍しく『くるみ割り人形』の上演がなく『シンデレラ』が上演されたのですが、やはり『くるみ割り人形』のないクリスマスなんて…ということで待ち望まれて『くるみ割り人形』がロイヤル・バレエに帰ってきました。
<ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』の魅力とは>
ロイヤル・バレエで1984年に初演されて以来、600回以上も上演され愛されてきたピーター・ライト版。ホフマンの原作から導かれた物語性が豊かなことが、大きな魅力の一つとなっています。
発明家のドロッセルマイヤーがねずみ捕りを発明したため、彼の甥ハンス・ピーターがねずみの女王の呪いでくるみ割り人形に姿を変えられてしまったというホフマンの原作に登場するエピソードが、プロローグで示されています。ねずみの王様をやっつけた勇敢な少女クララに愛され助けられることで呪いが解け、ハンス・ピーターが元の姿に戻ってドロッセルマイヤーの元に帰ってくるというハッピーエンディングが待っています。それに加えてクララとハンス・ピーターのほのかな恋の予感が甘酸っぱく素敵な余韻を残してくれます。
真夜中にクリスマスツリーが大きくなる場面のスペクタクル性とワクワク感、ねずみの王様との戦いの活劇とクララの勇敢な活躍、雪の精の群舞が舞い踊る美しい雪の場面、そしてお菓子の国での華やかな饗宴と名場面にあふれています。
多くの「くるみ割り人形」では、クララ役を子役ダンサーが踊り、2幕ではお菓子の国の祝宴のお客様として座っているだけという演出が主流ですが、ロイヤル・バレエのピーター・ライト振付『くるみ割り人形』では、クララと、くるみ割り人形から元の姿になったハンス・ピーターは、雪の場面や、お菓子の国における各国の踊り、さらには花のワルツの中でも一緒にパワフルに踊って、最初から最後まで大きな存在感を見せていて活躍します。各国の踊りは、時代に合わせて改訂が加えられ、ロシアや中国のダイナミックな動きは特に観客を沸かせています。
なお本年の『くるみ割り人形』上演では、舞台上で生みの親であるピーター・ライト卿の99歳の誕生日も祝われ、その様子も幕間映像の中で紹介されています。
<マヤラ・マグリとリース・クラーク、ロイヤル・バレエが誇る美麗ペアが主演>
金平糖の精役は、2011年にローザンヌ国際バレエコンクールで1位になり、ロイヤル・バレエ入団後は数々の作品に主演し高い技術と演技力で観客を魅了してきたマヤラ・マグリが演じています。揺るぎのないクラシック技術とすぐれた音楽性、明るく温かいオーラを放つ金平糖の精として輝いています。コーダでの驚異的な高速回転など、マヤラの超絶なテクニックはバレエを観る楽しさを実感させてくれます。幕間映像で、マヤラは子ども時代、ロイヤル・バレエで活躍していた吉田都が演じる金平糖の精をDVDで観て彼女に憧れ、参考にして研究していたと語っており、吉田さんの当時の貴重な舞台写真も紹介されます。
王子役には、ハリウッドスターのような美丈夫ぶり、長い手脚をのびやかに使ったダイナミックな踊りの貴公子リース・クラーク。サポートのうまさにも定評があり、パリ・オペラ座、アメリカン・バレエ・シアター、ミラノ・スカラ座など世界中の舞台で引っ張りだこです。リースとマヤラの長身美麗ペアによる息の合ったパ・ド・ドゥやリフトなど、パートナーシップでも魅せて夢のような時間を与えてくれます。
<ライジング・スターが抜擢されるクララとハンス・ピーター役、若手日本人ダンサーも活躍>
クララ役やハンス・ピーター役は、若手のスター候補ダンサーが抜擢されることが多く、のちにプリンシパルに昇格して、金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥという主役を踊るダンサーもいます。
今回、クララを演じるのは、2020年に入団して以来様々な役に抜擢され、まだファースト・アーティストながらこの後に上演される『ジゼル』で主演デビューを飾る予定の新星マリアンナ・ツェンベンホイ。YAGPファイナルで金賞に輝いたことからロイヤル・バレエスクールで学んだ注目の若手です。ウクライナとアフリカ系の血を引き、ウクライナ支援のチャリティ公演でも活躍してきました。少女の面影が残る清楚な美しさと繊細な表現力、磨かれたクラシック技術の持ち主です。ハンス・ピーター役は、日本出身の中尾太亮が演じています。『シンデレラ』の映画館上映での道化役、また『夏の夜の夢』のパック、『白鳥の湖』のベンノ、『マイヤーリング』のブラットフィッシュ役など高度なテクニックを駆使する役で活躍してきました。美しいつま先と軽やかな跳躍、端正な技術で信頼されているソリストです。少女クララの憧れを体現したような爽やかな好青年ぶりも魅力的で、これからの躍進が期待されています。ライト版の『くるみ割り人形』は、クララとハンス・ピーターがお菓子の国での各国の踊りと一緒に踊るなど、活躍の場面がとても多く、ロマンティックな松林のパ・ド・ドゥはじめ、たっぷりと踊りも演技も楽しめます。
今回注目の配役は、この『くるみ割り人形』では主役と言えるほどの存在感を持つ魔術師ドロッセルマイヤー役を、元々貴公子を演じてきたジェームズ・ヘイが演じることです。『シンデレラ』の義理の姉役に続き、『リーズの結婚』シネマ上映で女装して未亡人シモーヌ役を好演し、そのチャーミングな芸達者ぶりで新境地を開きました。ロイヤル・バレエスクール在籍中の11歳の時に子役として『くるみ割り人形』に出演し、以後25年の間、クララの弟フリッツ役から中国、ロシア、そしてハンス・ピーター役まで踊ってきた彼が、カリスマ性のあるドロッセルマイヤー役へと進化していった姿に胸を熱くする人もいることでしょう。
毎回日本人ダンサーの活躍を見ることができるのを楽しみにしている人も多いはず。ハンス・ピーター役の中尾太亮はもちろんのこと、1幕のパーティシーンでクララのパートナー役を(他日公演ではハンス・ピーター役も演じている)五十嵐大地が務め、1幕の人形劇に登場するヴィヴァンディエール役と、2幕の花のワルツリード役で桂千理が魅力的に踊ります。佐々木須弥奈も雪のコール・ド・バレエで活躍しています。
<金平糖の精のパ・ド・ドゥ、この上なく美しく甘く切ない踊りの秘密>
『くるみ割り人形』のクライマックスは、金平糖の精のグラン・パ・ド・ドゥ。クラシック・バレエの中でも究極のパ・ド・ドゥと言えるこの場面は、まるで天国にいるようなバレエの美の結晶です。甘く切ない旋律が胸を締め付けますが、チャイコフスキーが『くるみ割り人形』を作曲中に最愛の妹アレクサンドラを亡くし、その悲しみがこの曲に込められていると言われています。チャイコフスキーが、他の作曲家に知られないようにパリからロシアにひそかに持ち込んだ鍵盤楽器チェレスタの音色も、天国からの響きのようです。「金平糖が床に飛び散るような」「ケーキの上のアイシングのような」優雅な上半身の動きにくっきりとした足捌きが輝くキラキラした金平糖の精のソロ、王子の超絶技巧を詰め込んだソロ、コーダの高速回転など見せ場が満載です。
また、バレエの舞台には欠かせない靴の秘密が、今回のシネマ上映の幕間映像では見られます。金平糖の精役の魅力の一つである精緻なポワントワークを見せるマヤラ・マグリ。彼女が履いていたトウシューズをクローズアップで観ることができ、どのような加工をトウシューズに施しているかも知ることができるのは、バレエを学んでいる人にとってはとても興味深いはず。
<世界中で愛される『くるみ割り人形』の中でも、ロイヤル・バレエ版は決定版>
ピーター・ライト振付の『くるみ割り人形』は数ある『くるみ割り人形』の中でも、いつまでも色あせない幸福感にあふれ、世界でも最も人気のあるプロダクションの一つです。日本円で4万円以上もするという高額チケットも発売と同時にすべての公演が売り切れるほど。本拠地ロイヤル・オペラハウスでしか観られないこの人気作品を日本の映画館で、現地直送の臨場感たっぷりに観ることができるのが、このシネマシーズンの魅力です。初めてのバレエ鑑賞にもおすすめの、誰でも楽しめる作品です。世界最高のロイヤル・バレエのトップダンサーによる、バレエの魔法に夢見心地の2時間36分をぜひ映画館で!
2026.02.11
コラム
日本出身のプリマ金子扶生がシンデレラを演じて絶賛された、ロマンティックでファンタジックな舞台が好評のためアンコール上映!
英国ロイヤル・バレエで長年愛されてきた名作の中の名作『シンデレラ』
心優しい人は報われて素敵なことが起きるというおとぎ話の魔法が、観る者に夢と希望とときめきを与えてくれる、みんなが大好きなフェアリーテイル『シンデレラ』。
数ある『シンデレラ』のバレエ作品の中でも、もっとも人気があり日本の観客にも親しまれている名作が、ロイヤル・バレエの創立メンバーである巨匠フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』です。箒をシンデレラのパートナーに見立てたデュエット、男性ダンサーが女装してコミカルに怪演する義理の姉妹たち、四季の精たちのソロや星の精たちのきらめく群舞が特徴です。プロコフィエフの少しダークさを感じさせながらも美しいスコア、アシュトン特有の軽快な「フレッド・ステップ」が盛り込まれた振付、英国らしいおおらかなユーモアのセンス、そして心温まる余韻を残すファンタジックな終幕など、魅力あふれる名作として1948年の初演から英国ロイヤル・バレエで長年愛され、最も重要なレパートリーとして長年にわたって踊り継がれてきました。今ではアメリカン・バレエ・シアターや新国立劇場バレエ団など世界中で上演されていますが、本家ロイヤル・バレエの上演は格別です。
アカデミー賞衣裳賞受賞デザイナーらが手掛けたエレガントで華やかなプロダクション
2022年、初演75周年を記念してロイヤル・バレエではおよそ10年ぶりに待望のリバイバルとなった『シンデレラ』は舞台装置や衣裳も一新されての新プロダクションとなりました。『となりのトトロ』のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる舞台版でローレンス・オリヴィエ賞を受賞したトム・パイによる、花々が咲き乱れるガーデンパーティをイメージした華麗な舞踏会場が印象的な舞台装置、6度アカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされて2007年にはオスカーを手にしたアレクサンドラ・バーンによるオートクチュールのような洗練されたエレガントな衣裳も大きな魅力です。
日本が生んだシンデレラ・ガール、プリマ金子扶生の輝き/芸達者なダンサーたちにも注目!
明るく健気で清らかな心を持つシンデレラを演じるのは、ロイヤルを代表するプリマ・バレリーナへと躍進を続けて世界中の劇場にもゲスト出演している、まさに“シンデレラ・ガール”として輝く金子扶生。難しいステップも軽やかに鮮やかにこなし、前向きに運命を切り開くヒロインを好演しています。王子役のウィリアム・ブレイスウェルは優しくノーブルな貴公子役がぴったりで、金子とのパートナーシップを待ち望んでいる現地ファンの熱望に応えての今回の共演となりました。颯爽としたブレイスウェル王子のソロ、そして2幕の舞踏会での二人の想いが高まるパ・ド・ドゥは甘美でロマンティックなことこの上ありません。
シンデレラを導く仙女を温かみのある演技で演じるのは、演技にもテクニックにも優れ、この後の『くるみ割り人形』シネマでは金平糖の精を演じるなど目下絶好調のマヤラ・マグリ。この作品のもう一つの主役と言えるほど暴れまわり強烈な印象を残す“ファッション中毒のInstagramインフルエンサー”のような義理の姉たちは、ロイヤル・バレエを代表する名役者ベネット・ガートサイドと、王子役も演じる端正なダンスールノーブルとして定評のあるジェームズ・ヘイが挑み、観客を爆笑の渦へと導きました。特にジェームズ・ヘイは、『リーズの結婚』ではリーズの母親役シモーヌ役の演技と軽快な“木靴の踊り”で大評判となり、この後のシネマ『くるみ割り人形』では魔術師ドロッセルマイヤー役デビューを飾って新境地を開くなど、最近の活躍ぶりが目覚ましく、その芸達者ぶりから目が離せません。
さらに驚くほどの高い跳躍や見事な回転技、愛嬌のある演技で魅せる“王子のたった一人の親友”である道化役には、超絶技巧を誇る若手の五十嵐大地、四季の精のうち「夏の精」をプリンシパル昇格も期待される佐々木万璃子が詩情豊かに踊るなど、多くの日本出身のダンサーが活躍を見せています。
人気ダンサー、ギャリー・エイヴィスの姿を観る最後の貴重な機会
この『シンデレラ』上映では、ナビゲーターをプリンシパルキャラクターアーティスト/指導者のギャリー・エイヴィスが務め、舞台裏の様々な場所から作品の魅力をわかりやすく伝えています。その演技力と親しみやすい人柄で日本でも人気が高かったエイヴィスは昨年11月に惜しまれながらロイヤル・バレエを引退したため、これが彼の姿をスクリーンで観られる最後の機会となります。
世界トップクラスのスターダンサーたちによる、ときめきとロマンと笑いに満ちた華やかで夢いっぱいのバレエ作品は、冬の寒さを吹き飛ばして温かい気持ちにさせてくれるに違いありません。ロンドン・コヴェントガーデンでのときめくおとぎ話の魔法を、お近くの映画館で。
メルキュール東京日比谷 館内レストラン「ラ・セヌ」にて、各演目の映画の半券プロモーションを実施致します。

●ご提供期間・日時
期間:~ 7 月 31 日(金)
時間:13:30~L.O. 22:00
●ご提供内容
映画チケット購入メールをスマートフォンでご提示、または映画半券をご持参くださったお客様に、スパークリングワインを 1 杯サービスいたします。(ノンアルコールのご用意もございます。)
※お一人様1演目につき1回限りのご提供となります。
●対象作品:25/26シーズンの全9演目
「トスカ」「リーズの結婚」「シンデレラ」「くるみ割り人形」「椿姫」「ウルフ・ワークス」「ジゼル」「ジークフリート」「魔笛」
詳しくはこちらまで
2026.02.06
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| ■解説+インタビュー | 19分 |
| ■第1幕 | 52分 |
| 休憩 | 13分 |
| ■解説+インタビュー | 15分 |
| ■第2幕、カーテンコール | 57分 |
| 上映時間:2時間36分 | |