ニュース

2025.01.14

『不思議の国のアリス』インタビュー情報

バレエチャンネル

スティーヴン・マックレー インタビュー~靴音は、私の声。マッドハッターは喋るようにタップを踊る
https://balletchannel.jp/42772

 

Chacott

フランチェスカ・ヘイワード=インタビュー「舞台では数々のハプニングを楽しみます」
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/others/detail038358.html

『不思議の国のアリス』マッドハッター役スティーヴン・マックレーにきく「怪我を乗り越えた経験は演技に深みを与えた」
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/others/detail038357.html

2025.01.06

ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』タイムテーブルのご案内

項目 時間
■解説+インタビュー 14分
■第1幕 50分
休憩 10分
■第2幕、カーテンコール 53分
上映時間:2時間7分

本編中に一部音声の不具合がございます。これらは公演撮影時に生じたものとなりまして、誠に恐縮ながら、ご理解とご了承の程お願い申し上げます。

2024.12.16

ロイヤル・バレエ『不思議の国のアリス』タイムテーブルのご案内

項目 時間
■解説+インタビュー 17分
■第1幕 47分
休憩 8分
■解説+インタビュー 15分
■第2幕 29分
休憩 10分
■解説+インタビュー 15分
■第3幕、カーテンコール 54分
上映時間:3時間15分

本編中に一部音声の不具合がございます。これらは公演撮影時に生じたものとなりまして、誠に恐縮ながら、ご理解とご了承の程お願い申し上げます。

2024.11.25

オペラ『フィガロの結婚』見どころをご紹介します

コラム

永井玉藻(音楽学者)

伝統と革新、ロイヤル・バレエ&オペラの新シーズン

コヴェント・ガーデンの進化が止まらない。長年「ロイヤル・オペラ・ハウス」の名でイギリスの、いや世界のオペラとバレエ上演を牽引してきた劇場が、このたび「ロイヤル・バレエ&オペラ」と名称を変え、2024〜25年のシネマシーズンを始める。遠方のファンでも、まるで劇場内(それも特等席)にいるかのような感覚を味わえるだけでなく、関係者インタビューや稽古場での様子の紹介、SNSでのハッシュタグ付き投稿によるファン同士の交流は、映画館放映ならではの体験といえよう。劇場に来る人のみならず、全世界のファン、そしてこれからファンになる潜在的観客層をも視野に入れたシネマシーズンは、新生ロイヤル・バレエ&オペラにおいても大きな魅力の一つである。

さて、2024〜25年のシーズンには、ロイヤル・オペラの音楽監督の交代という、もう一つの新しさもある。2002年からの長期にわたってロイヤル・オペラの音楽監督を務めたアントニオ・パッパーノが昨シーズンで勇退し、代わって新音楽監督に就任したのがヤクブ・フルシャ。43歳となる彼は2018年にロイヤル・オペラでビゼーの《カルメン》を振っており、すでに数々のオペラ・ハウスでの経験を有する。新体制下のシネマシーズンの1作目は、モーツァルトの《フィガロの結婚》である。ロイヤル・オペラでは2006年からデイヴィッド・マクヴィカー演出によるプロダクションを上演しており、大好評を得てきた。今回の上演を指揮するのは、ベテラン指揮者のジュリア・ジョーンズである。

 

《フィガロ》の時代を越える人間模様と社会風刺

《フィガロの結婚》の最大の魅力は、生き生きとした人間模様によって描き出される、喜劇に見せかけた社会批判だろう。立場を利用して情事を楽しもうとする貴族を、頭の切れる床屋の家来がギャフンと言わせる、というこのオペラの物語は、現代の観客からするとコミカルに見える。しかし、この作品が上演された18世紀末は、ヨーロッパの封建的な貴族社会が危機を迎えつつあった時期だった。絶対視されていた貴族たちの立場は、揺らがないものでは決してない。実際、原作となったボーマルシェの戯曲にはたびたび上演禁止令が出ている。
この点を踏まえると、マクヴィカーがオープニングの稽古場インタビューで「歌手たちに、これは喜劇ではないと言っています」と語る理由が明確になる。作中の人物たちは、皆それぞれの欲求と感情を持ち、自分の正しさのために行動する。そのさまが真剣であればあるほど、観客として物語世界を外から眺める私たちにとっては、物語の状況が滑稽に見える。そしてその視点によって、観客を取り巻く現実社会の滑稽さに気づくのである。
だからこそ、200年前の作品だとしても、現代的な読み替えはマクヴィカーには不要だったのだろう。むしろ、歌手たちの自然な演技によって個々の人物の人間的側面が明確になり、どんな時代にも共通する人間の弱さや愚かさ、そして生きる力が、モーツァルトの音楽とともに示されていく。

 

歌手陣の活躍が光るプロダクション

今回のフィガロ役を務めるのは、イタリア出身で演劇俳優としての経験を持つバリトンのルカ・ミケレッティである。「音楽に命を吹きこむために、言葉を正しく扱う必要がある」と語るように、第1幕のカヴァティーナ「もしも踊りをなさりたければ」では、スザンナを心配しつつ伯爵の企みに憤慨するフィガロの心情を表情豊かに聴かせる。スザンナ役は当初イン・ファンの予定だったが、収録日は体調不良により降板し、若手コロラトゥーラのシボーン・スタッグが歌っている。終盤のフィガロとの騙し合いののち、伯爵夫人のふりをしてアルマヴィーヴァ伯爵をハメる際の声の切り替えも楽しい。その伯爵を演じるヒュー・モンタギュー・レンドールは、今後の活躍が大いに期待される躍進中のバリトン。他にも、伯爵夫人のマリア・ベントソンの気品溢れる歌唱、恋に恋するケルビーノ役のジンジャー・コスタ・ジャクソンが歌う「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」など、充実期にある歌手陣を中心とする公演は聴きどころも満載だ。
「モーツァルトを上手に演じるのは簡単なことではありません」とマクヴィカーは語る。しかし、その難しさに全力で挑んでいるプロダクションだからこそ、ロイヤルの《フィガロ》は、鑑賞後の観客に高い充実感をもたらしてくれるだろう。

2024.11.08

ロイヤル・オペラ『フィガロの結婚』タイムテーブルのご案内

項目 時間
■解説+インタビュー 18分
■第1幕&第2幕 103分
休憩 18分
■解説+インタビュー 13分
■第3幕&第4幕、カーテンコール 84分
上映時間:3時間56分

本編中に一部音声の不具合がございます。これらは公演撮影時に生じたものとなりまして、誠に恐縮ながら、ご理解とご了承の程お願い申し上げます。

2024.11.08

英国ロイヤルバレエ&オペラinシネマ2024/2025 シーズン開幕を記念し朝日カルチャーセンターにて講座開催が決定致しました!

『フィガロの結婚』の聴き所はどこ?

講師:岡田暁生/京都大学教授
日程:11月21日(木) 19:00~20:30
回数:1回
備考:Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
   お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。

詳しくはこちらへ
『フィガロの結婚』の聴きどころはどこ? | 新宿教室 | 朝日カルチャーセンター

2024.10.09

「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2024/25」として新たに開幕!魅力溢れる6本のバレエと4本のオペラがラインナップ!

11月29日(金)より、いよいよ開幕する『英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2024/25』。世界最高峰のバレエとオペラの魅力に満ちた至福の時間を、是非映画館の大スクリーンでご堪能ください!

【全10演目】
◆バレエ演目
①『不思議の国のアリス』、② 『くるみ割り人形』、③『シンデレラ』、
④『白鳥の湖』、⑤『ロミオとジュリエット』、⑥『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』

◆オペラ演目
①『フィガロの結婚』、②『ホフマン物語』、③『トゥーランドット』、④『ワルキューレ』

〈バレエの見どころ〉
今シーズン最大の注目作は、ロイヤル・バレエで生まれ、世界中で上演されている超人気作品『不思議の国のアリス』。ブロードウェイミュージカル『パリのアメリカ人』の振付で知られるクリストファー・ウィールドンが手掛け、フランチェスカ・ヘイワード、ウィリアム・ブレイスウェル、ローレン・カスバートソン、スティーヴン・マックレーと、プリンシパルが4人も登場するかつてない黄金プログラムとなっている。
続いてはロイヤル・バレエの代表作で、伝統と革新が見事に調和した『シンデレラ』。意地悪な姉妹役を男性ダンサーが女装して演じる点は、ユーモアを加えつつ新鮮な驚きをもたらす演出であり、前回のリニューアルで導入された、花々で彩られた美しいプロダクションも観客を魅了する要素の一つ。また今回の公演では、日本出身のプリンシパル・ダンサー、金子扶生がシンデレラ役を演じることも大きな注目点となっている。
演劇性を重視したロイヤル・バレエならではの名作『ロミオとジュリエット』は、運命に翻弄された恋人たちが、熱烈な恋を通して短い生を駆け抜けるシェイクスピア原作の永遠のラブストーリー。セルゲイ・プロコフィエフの音楽と重厚な美術、ケネス・マクミランの振付で何度観ても涙せずにはいられない深い感動をもたらすことだろう。
そしてシーズン最後を飾るのは、『不思議の国のアリス』を手掛け、ミュージカル界でも人気のクリストファー・ウィールドンの4作品を上演する『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』。トニー賞受賞の名作ミュージカル『パリのアメリカ人』の一場面が、ロイヤル・バレエのダンサーによって初めて演じられる予定。この見どころ満載の公演をお見逃しなく。
そしてアンコール上映は、冬の風物詩で家族連れにも人気の『くるみ割り人形』と、言わずと知れたバレエの代名詞『白鳥の湖』の2作品。これらの6作品を観れば、世界トップクラスのバレエ団、ロイヤル・バレエの魅力を堪能できること間違いなしのラインナップとなっている。

〈オペラの見どころ〉
オーストリア、フランス、イタリア、ドイツの名作をラインナップ。シーズンの幕開けを飾る『フィガロの結婚』では、オーソドックスな衣装、美術、照明を背景に、モーツァルトの美しい音楽に合わせて、フィガロとスザンナの結婚式当日のドタバタが躍動する。
ホフマンと3人の女性の幻想的な恋物語『ホフマン物語』は、「キャンピング・コジ」として知られる新国立劇場『コジ・ファン・トゥッテ』の演出家ダミアーノ・ミキエレットと、テノールのスーパースター、フアン・ディエゴ・フローレスのタッグによる新制作で、世界中のオペラファンの注目を集めている。
そして1984年プレミエという長い人気を誇るアンドレイ・セルバン演出版『トゥーランドット』。北京を舞台に絶世の美女トゥーランドット姫と彼女に恋した異国の王子カラフを描く本作は、太極拳を取り入れた特徴的な動きが見どころだ。
神々の長ヴォータンが人間女性との間にもうけた双子の兄妹の愛と、女戦士ブリュンヒルデが神々の世界を追放されるまでを壮大に描いた『ワルキューレ』新制作では、ワーグナー上演作品の総本山と言われているバイロイト音楽祭で高い評価を得たバリー・コスキーの斬新な発想と奇抜なアイデアに期待ができる。

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【全10演目と公開日】※1週間限定公開※

①ロイヤル・オペラ『フィガロの結婚』:2024年11月29日
②ロイヤル・バレエ『不思議の国のアリス』:2025年1月17日
③ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』:2025年2月7日
④ロイヤル・バレエ『シンデレラ』:2025年2月21日
⑤ロイヤル・オペラ『ホフマン物語』:2025年3月28日
⑥ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』:2025年5月16日
⑦ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』:2025年6月6日
⑧ロイヤル・オペラ『トゥーランドット』: 2025年6月20日
⑨ロイヤル・オペラ『ワルキューレ』: 2025年9月5日
⑩ロイヤル・バレエ『バレエ・トゥ・ブロードウェイ』: 2025年9月19日

【上映劇場】
*札幌シネマフロンティア(北海道)
*フォーラム仙台(宮城)
*TOHOシネマズ 日本橋(東京)
*イオンシネマ シアタス調布(東京)
*TOHOシネマズ 流山おおたかの森(千葉)
*TOHOシネマズ ららぽーと横浜(神奈川)
*ミッドランドスクエア シネマ(愛知)
*イオンシネマ 京都桂川(京都)
*大阪ステーションシティシネマ(大阪)
*TOHOシネマズ 西宮OS(兵庫)
*kino cinéma天神(福岡

<料金:一般¥3,700円 学生¥2,500円(税込)>
※「ワルキューレ」は一般¥5,200円 学生¥3,700円(税込)

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2024.09.17

オペラ『アンドレア・シェニエ』見どころをご紹介します。

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香原斗志(オペラ評論家)

ROHの《アンドレア・シェニエ》が最高にエキサイティングな理由

《アンドレア・シェニエ》を超える情熱的なオペラは思い当たらない。舞台はフランス革命をはさんだ激動の時代。実在した詩人シェニエを中心に、伯爵令嬢マッダレーナ、彼女の家の従僕ジェラールらの運命は、革命の前後で劇的に変わる。運命に翻弄される彼らの愛と嫉妬と死は、いきおい究極の魂の叫びになる。展開はスピーディで、変化に富む音楽は雄弁な管弦楽に支えられ、人物の情熱はそのまま旋律となって聴く人の心を揺さぶる。
 ロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督を22年の長きにわたって務めたアントニオ・パッパーノが、退任前の最後の上演にこの作品を選んだのは、とても納得がいく。そしてパッパーノの手腕により、激しい情熱は品格と美に昇華させられた。

作り込みが徹底してごまかしがない舞台

2015年に初演されたデイヴィッド・マクヴィカー演出の舞台の再演だが、読み替えも時代の移行もなく、第1幕はフランス革命前後、第2幕から第4幕はその5年後として描かれる。歴史の細部が大切にされ、その結果、洗練された舞台装置や衣裳は簡略化や抽象化されることなく、細部まで徹底して作り込まれてごまかしがない。しかも、どの場面も人物の動きをふくめ映画のように作り込まれている。
 第1幕は、貴族のサロンならではのエレガンスや華やかさを、パッパーノが指揮する管弦楽が、軽快なテンポに抑揚とニュアンスを深く刻みながら表現し、そこに時おり革命の足音を忍び込ませた。それがリアルで洗練された舞台装置と衣裳と抜群の相性を見せる。

 ここで、ごく簡単にあらすじを記しておこう。
 革命前夜のコワニー伯爵のサロンで、令嬢マッダレーナと詩人シェニエは出会い、従僕のジェラールは世界を変える決意をし、伯爵家を飛び出す。5年後、零落したマッダレーナはパリでシェニエに再開して愛し合う。一方、革命政府の高官になったジェラールは、マッダレーナに思いを寄せつつ、反革命的なシェニエを告発する。だが、マッダレーナに懇願されて弁護するが、結局、シェニエへの死刑判決が。マッダレーナは進んで別の死刑囚の身代わりになり、シェニエと2人で断頭台に登る。
 第1幕で貴族のサロンを感じさせたウンベルト・ジョルダーノの音楽は、第2幕以降は革命後の社会を写実する。そして、パッパーノの指揮する管弦楽は、見事に写実的であると同時に、エレガンスをけっして失わない。

感情が豊かに溶け込んだ声が雄弁な管弦楽と一体化

 ところで、《アンドレア・シェニエ》は、19世紀末にイタリアで流行したヴェリズモ・オペラに属すると説明される。「ヴェリズモ」とは真実主義という意味で、残虐な場面が多用され、音楽的には技巧を排して感情が直接的に表現される、といった特徴がある。
 たしかに、このオペラはヴェリズモと切り離せない。だが、この演奏を聴き、この舞台を観ると、ヴェリズモ・オペラのとらえ方自体を変えざるをえなくなる。
 一般にヴェリズモ・オペラは、歌手たちが声を張り上げて感情を表し、激しい情熱はいわゆる「泣き」を入れて表現するというイメージが強い。しかし、この《アンドレア・シェニエ》では違う。

 第1幕の冒頭近くから、ジェラール役のアマルトゥブシン・エンクバートは、貴族に反発するソロを実に格調高く表現した。続いて、シェニエ役のヨナス・カウフマンがアリア「ある日青空を眺めて」を、ニュアンスたっぷりに歌い上げた。これは情熱的なシェニエが、マッダレーナに愛の崇高さを伝える即興詩だが、情熱が上ずることなく、ピアニッシモも駆使した多様で豊かなニュアンスとして、音楽に織り込まれた。
また、第2幕で再会したマッダレーナとシェニエの愛の二重唱。甘い旋律が抑揚をつけられてゆったり奏され、そこにカウフマンと、マッダレーナ役のソンドラ・ラドヴァノフスキーの、強弱と色彩によって感情が豊かに溶け込んだ声が、濃密な情熱を表現した。
このように、このオペラにみなぎる情熱は、剥き出しの感情としてではなく、すぐれた歌手たちの高度なテクニックを前提にした、ニュアンスたっぷりの洗練された歌唱として表現される。それはパッパーノの徹底した指示もあってのことだろう。その結果、声は雄弁で細やかな管弦楽と見事に一体化する。
第3幕の、ジェラールのアリア「祖国の敵」の力強い品格。マッダレーナのアリア「母は死んで」の磨かれた歌唱による深すぎる感情表現。第4幕の、シェニエのアリア「五月のある美しい日のように」の端正な情熱。シェニエとマッダレーナの最後の二重唱はいうまでもない。それだけでも価値があるが、そこに止まらない。
深い感情が渦巻く情熱的な歴史劇が、作り込まれた舞台上で、洗練された完璧な音楽で表現され、名歌手たちの磨き抜かれた至芸に酔える。この《アンドレア・シェニエ》を超えるエキサイティングなオペラ体験は、滅多にできるものではない。

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