オペラ界のスーパースター、フローレスが英国ロイヤルの《ラ・ボエーム》に出演!
貧しい芸術家たちの“青春の歌”を感情豊かに歌い上げる。
イタリアオペラの巨匠プッチーニの若き日の傑作で、ミュージカル『レント』の原作としても知られる『ラ・ボエーム』。若くて貧乏な詩人ロドルフォは、可憐な娘ミミと恋に落ちる。芸術家たちが一緒に暮らす屋根裏部屋から、クリスマス・イヴのお祭り騒ぎへ、だがやがて楽しい時はうつろい、辛い別れが訪れる。誰でも一度は経験したことのある若さゆえのきらめきと絶望を、胸を打つメロディーで歌い上げる《ラ・ボエーム》は、数あるオペラの中でももっとも愛される名作の一つだ。
英国ロイヤルで2017年に初演されたリチャード・ジョーンズ演出のプロダクションは、近年多い現代的な読み替えではなく、台本の指定に沿った時代と設定で劇が進行する。詩人ロドルフォを歌うのはオペラ界のトップに君臨するテノール歌手、フアン・ディエゴ・フローレス。第1幕の屋根裏部屋でロドルフォとミミが出会う場面では、フローレスの歌のフレージングの美しさが聴きどころだ。第1幕の後半にある彼の有名なアリア「冷たい手を」でも、輝かしいハイC(高音のド)がオペラハウスに響き渡る。ミミを歌うのはソプラノのアイリーン・ペレス。感情がこもった歌が素晴らしく、健気で愛情深いミミ役を演じている。画家マルチェッロには注目のハンサムなバリトン、アンドレイ・ジリホフスキーが出演。奔放なムゼッタ役にはやはりスター歌手のダニエル・ドゥ・ニースが出演して観客を魅了する。ちなみに第2幕は合唱が大きな聴きどころで、それに加えて子供たちのコーラスも抜群の可愛さだ。またカフェのボーイ役などの俳優たちの演技も見ていて飽きない。第3幕以降はロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタの二組のカップルの葛藤と別れが描かれ、それもロドルフォとミミには永遠の別れが待っている。原作の小説家ミュルジェールは当時の自分達のリアル・ライフを小説にし、それを若きプッチーニが共感を持ってオペラ化した。ここには青春のすべてがある。
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【音楽】ジャコモ・プッチーニ
【指揮】ケヴィン・ジョン・エドゥセイ
【演出】リチャード・ジョーンズ
【出演】マルチェッロ:アンドレイ・ジリホフスキー /
ロドルフォ:フアン・ディエゴ・フローレス / コッリーネ:マイケル・モフィディアン /
ショナール:ロス・ラムゴビン / ベノア:ジェレミー・ホワイト /
ミミ:アイリーン・ペレス / ムゼッタ:ダニエル・ドゥ・ニース