ロイヤル・バレエ

眠れる森の美女

The Sleeping Beauty

  • 【振付】マリウス・プティパ
  • 【改訂振付】フレデリック・アシュトン
    アンソニー・ダウエル
    クリストファー・ウィールドン
  • 【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
  • 【演出】ニネット・ド・ヴァロワ
    ニコラス・セルゲイエフに基づきモニカ・メイソン
    クリストファー・ニュートン
  • 【美術】オリヴァー・メッセル
  • 【改訂美術】ピーター・ファーマー
  • 【照明デザイン】マーク・ジョナサン
  • 【ステージング】クリストファー・カー
    ギャリー・エイヴィス
  • 【指揮】ジョナサン・ロー
  • 【管弦楽】ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
  • 【出演】国王フロレスタン24世 クリストファー・サウンダーズ
    女王 エリザベス・マクゴリアン
    オーロラ姫 ヤスミン・ナグディ
    フロリモンド王子 マシュー・ボール
    カタラビュット ベネット・ガートサイド
    カラボス クリステン・マクナリー
    リラの精 マヤラ・マグリ 澄んだ泉の精 アネット・ブヴォリ
    魔法の庭の精:イザベラ・ガスパリーニ
    森の草地の精:前田紗江
    歌鳥の精:ソフィー・オールナット
    黄金のつる草の精: 崔由姫
    妖精のキャバリエ ニコル・エドモンズ、ジョセフ・シセンズ、ベンジャミン・エラ、カルヴィン・リチャードソン、レオ・ディクソン、アクリ瑠嘉 英国の王子:ギャリー・エイヴィス
    フランスの王子:ニコル・エドモンズ
    インドの王子:デヴィッド・ドネリー
    ロシアの王子:トーマス・モック 伯爵夫人:ミカ・ブラッドベリ フロレスタン:カルヴィン・リチャードソン
    フロレスタンの姉妹:前田紗江、アネット・ブヴォリ
    長靴を履いた猫:デヴィッド・ジュデス
    白猫:ソフィー・オールナット
    フロリナ姫:イザベラ・ガスパリーニ
    青い鳥:ジョセフ・シセンズ
    赤ずきん:キム・ボミン
    狼:デヴィッド・ドネリー
  • 【上映時間】3時間21分

史上最大のスケールでお贈りしてきた今シーズンも、いよいよフィナーレへ!
チャイコフスキーの比類なき傑作『眠れる森の美女』
第二次世界大戦後、劇場の眠りを覚ませ、新時代の幕開けを飾った特別な作品

チャイコフスキー三大バレエの中でも、巨匠マリウス・プティパがチャイコフスキーと密接に協力して細部まで注文し、振付と音楽が完璧にマッチした比類なき傑作が『眠れる森の美女』。ロイヤル・バレエの歴史の中でも特別な位置づけにある古典バレエ作品です。

第二次世界大戦後の1946年2月、戦時中には避難所に使われていたコヴェントガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスが再開した時に初演され、劇場の眠りを覚ませた作品でした。マーゴ・フォンテーンがオーロラ姫役を踊り、戦争で傷ついていた人々の心に灯りをともしてバレエ芸術の素晴らしさを伝え、新時代の幕開けを飾りました。1949年の米国ツアーでも上演されてロイヤル・バレエの名声を世界に広めました。2006年にはロイヤル・バレエ団の75周年を記念し、1946年当時の演出やオリヴァー・メッセルによる舞台装置を大変な手間をかけて復元した現在のプロダクションが製作されました。

ロイヤル・バレエの創設者ニネット・ド・ヴァロワ版を復元した『眠れる森の美女』は、フランス宮廷を再現した絢爛豪華な舞台芸術と共に、ペローのおとぎ話を大人の鑑賞にもふさわしい品格とドラマチックな物語に仕立て上げています。王子の超絶技巧から幻影の場面での群舞、そして愛らしいおとぎ話のキャラクターたちが繰り広げる踊りとチャイコフスキーの壮麗で美しい旋律まで、グランドバレエの魅力のすべてが詰まっていて、世界中で愛されている名作です。

初々しくも緊張感にあふれたローズ・アダージオから、抒情的でロマンティックな幻影のパ・ド・ドゥ、そして華麗なグラン・パ・ド・ドゥまで、オーロラ姫役はクラシック・バレエの中でも技術的にも、表現的にも難しい大役です。
オーロラ姫を演じるのは、精緻なテクニックと豊かな音楽性、お姫様にふさわしいエレガンスと知性を兼ねそなえ、ロイヤル・バレエを代表する若手プリマ・バレリーナに成長したヤスミン・ナグディ。ローズ・アダージオでのバランスも完璧に決めて、芳紀16歳の清新さあふれる姫を見事に演じています。100年後の結婚式の場面での優雅で華やかな踊りにも魅せられます。フロリモント王子には、ナグディと多く共演して確固たるパートナーリップを築いた貴公子マシュー・ボール。マシュー・ボーン版『白鳥の湖』では男性の白鳥を演じるなど幅広い役に挑戦し、ダイナミックな踊りと共に演技力にも定評があり、高い人気を誇ります。オーロラ姫に呪いをかける悪の妖精カラボスにはバレエ団きっての演技派クリステン・マクナリー、善き妖精であるリラの精にはローザンヌ国際バレエコンクールで一位に輝いた技巧派のマヤラ・マグリ。そして青い鳥には、ロイヤル・バレエの来日公演でも、跳びぬけたテクニックとスター性で注目を集めたジョセフ・シセンズが、空高く飛んでいきそうな鮮やかな跳躍を見せます。フロリナ姫のイザベラ・ガスパリーニは、来シーズンからはファースト・ソリストに昇進することが決まっています。『くるみ割り人形』のクララ役での好演が記憶に新しく、軽やかで歌うような踊りが爽やかです。

日本出身のダンサーの活躍を観るのも、このロイヤルシネマの楽しみです。プロローグでは来シーズンよりソリストに昇進し注目の若手前田紗江と、バレエ団には欠かせないベテラン崔由姫が妖精のソロを踊り、前田は3幕でも“宝石の踊り”として知られるフロレスタンの姉妹役でソロを披露します。

先日の来日公演では、世界トップレベルのパフォーマンスと魅力にあふれたスターダンサーたち、ドラマチックなレパートリーによって熱狂を呼び起こした英国ロイヤル・バレエ。ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズンの締めくくりとなる大作『眠れる森の美女』で、改めてその魅力を実感してください。

【STORY】
国王フロレスタン24世とお妃は、 生まれたばかりのオーロラ姫の洗礼式に妖精たちを招くが、邪悪な妖精カラボスは洗礼式に招かれなかったことに激怒する。洗礼式に招かざる客として割り込んだカラボスは、オーロラは糸紡ぎで指を刺して死ぬという呪いをかけた。リラの精は、カラボスの呪いを和らげる贈り物を贈る。それは、オーロラは死なないが深い眠りに落ち、王子のキスによって目覚めるというもの。
オーロラの16歳の誕生日に、4人の王子たちが求婚しにやってくる。禁止されている糸紡ぎを使っていた女性たちが捕まるが、お妃のとりなしで無罪放免となる。好奇心旺盛なオーロラは老婆に変装したカラボスに渡された糸紡ぎで指を刺してしまう。オーロラは深い眠りに落ち、城全体も共に眠る。
100年後、狩りに出かけたフロリムント王子は、リラの精にオーロラ姫の幻影を見せられ、魅了される。王子はリラの精に導かれて深い森に隠れた城を見つけ、キスでオーロラを目覚めさせる。邪魔をしようとしたカラボスは打ち負かされる。おとぎ話の登場人物たちが駆けつけて、ふたりの華麗な結婚式が開かれる。