ロイヤル・オペラ

蝶々夫人

Madama Butterfly

  • 【音楽】ジャコモ・プッチーニ
  • 【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
    (原作:ジョン・ルーサー・ロングの小説『蝶々夫人』とデヴィッド・ベラスコの戯曲『蝶々夫人』)
  • 【指揮】ニコラ・ルイゾッティ
  • 【演出】モッシュ・ライザー
    パトリス・コーリエ
  • 【再演演出】デイジー・エヴァンス
  • 【美術】クリスティアン・フェヌイヤ
  • 【衣裳】アゴスティーノ・カヴァルカ
  • ロイヤル・オペラ合唱団(合唱指揮:ウィリアム・スポールディング)
  • 【出演】B.F.ピンカートン:ジョシュア・ゲレーロ
    ゴロー:カルロ・ボージ
    スズキ:クリスティン・ライス
    シャープレス:カルロス・アルヴァレス
    蝶々さん:マリア・アグレスタ
    神官:ダヴィッド・キンバーグ
    書記官:リー・ヒッケンボトム
    蝶々さんの母親:エリル・ロイル
    ヤクシデ:アンドリュー・オコーナー
    叔母:エイミー・キャット
    ボンゾ:ジェレミー・ホワイト
    ドローレ:レオ・ ストックランド=ベイカー
    ヤマドリ公:ヨーゼフ・ジョンミン・アン
    ケート・ピンカートン:ガブリエーデ・クプシーテ
  • 【上映時間】3時間14分

ミュージカルの原作やフィギュアスケートでの選曲等でも広く知られる、日本を描いたオペラの傑作、 プッチーニ作曲「蝶々夫人」。英国ロイヤルの名舞台が日本をリスペクトした改訂版で帰ってくる!

●日本ブームから現代へ
プッチーニの「蝶々夫人」は、アリアがフィギュアスケートの音楽などに使われるだけでなく、大ヒットしたミュージカル「ミス・サイゴン」の原作としても知られている。19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパで起こった日本ブームによって、日本をテーマにした絵画、小説、演劇などに加え、日本を題材にしたオペラがいくつも生まれたが、その中の決定版がプッチーニ作曲の「蝶々夫人」だ。明治時代の長崎を舞台に、アメリカ海軍士官ピンカートンの現地妻となった蝶々さんが、夫に捨てられ日本の社会から孤立し、ついには愛する息子まで奪われ…という悲劇を、イタリア・オペラならではの旋律美で余す所なく描き出す。

●日本へのリスペクト
このプロダクションのモッシュ・ライザー&パトリス・コーリエによる演出は2003年に英国ロイヤル・オペラで初演されたもの。今回の上演は、近年の芸術分野に求められるアジア文化への尊重という課題を反映して、劇場側が、舞台のムーヴメントを指導する上村苑子氏、衣裳デザイナー半田悦子氏、ロンドン大学日本近現代史 博士鈴木里奈氏、演出家の家田 淳氏をコンサルタントとして招き、1年かけてアップデートし作り上げた改訂版。演出と舞台美術は基本的に同一だが、時代的にも間違った描写である白塗りにチョンマゲや、長く引きずった着物などを排除し、人々の所作も日本人から見て自然で美しいものに仕上がっている。

●ロンドンを熱狂させた歌唱
「蝶々夫人」はプッチーニが、ヒロインである蝶々さんに全面的にフォーカスして書いたオペラである。蝶々さんは15歳の少女として登場し第2幕以降はその3年後というごく若い娘の役でありながら、厚みのあるオーケストラを突き抜けて響く声も必要だ。今回、蝶々さんを歌ったマリア・アグレスタはイタリアを代表するリリック・ソプラノであり、丸みを帯びた美声と情熱的な歌唱、そして舞台を支配するカリスマ性でロンドンの観客を熱狂させた。

【STORY】
20世紀初頭の日本、アメリカ人の海軍士官ピンカートンは一時滞在していた長崎で、武家の出身だが父親を亡くし芸者をしていた蝶々さんと結婚する。ピンカートンにとっては短い滞在中の現地妻だったが、蝶々さんは真の結婚と信じ、キリスト教に改宗したことによって親戚一同に縁を切られてしまう。やがてピンカートンは長崎を去り、蝶々さんには息子が生まれる。蝶々さんはピンカートンを信じて待ち続けるが、3年経って再び長崎の地を踏んだ彼はアメリカ人の妻ケートを伴っていた…。