ロイヤル・バレエ

ドン・キホーテ

Don Quixote

ロイヤル・バレエ

ドン・キホーテ

Don Quixote

バルセロナの街角で、町娘キトリと床屋バジルの恋物語がコミカルに生き生きと描かれる。キトリの32回転フェッテやバジルの華麗な跳躍などのテクニック合戦、陽気な登場人物たちがカルロス・アコスタのパワフルな演出に乗って所狭しと駆け回る。夢の場面では一転して、繊細なチュチュの妖精たちの世界で、クラシック・バレエの美を堪能。

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STORY

英国ロイヤル・バレエの芸術監督ケヴィン・オヘアは、就任後の最初の大きな仕事として、しばらく上演が途絶えていた『ドン・キホーテ』の新しいプロダクションを構想。2013年、ロイヤル・バレエを代表する人気ダンサー、カルロス・アコスタが抜擢されて初の全幕作品に取り組み、初演では自ら主演。『ドン・キホーテ』の陽気な娯楽性をさらに追求するために、舞台上でダンサーたちが賑やかな掛け声をかけ、テーブルや馬車の上でも踊る。スペインの街角の雰囲気を出すために、街の人々もたっぷりと踊りを見せる。また2幕では、ロマンティックなパ・ド・ドゥが加えられたほか、ジプシーの野営地では舞台上にミュージシャンが登場して演奏し、新しい振付も登場してエキゾチックな雰囲気を盛り上げる。舞台装置が出演者によって動かされることでさらに活気ある舞台に仕上がり、3幕のフィナーレもより祝祭性の高いものに。ドラマティックな演技を得意とするロイヤル・バレエのダンサーたちは作品に厚みを加え、一人一人の物語がくっきりと浮かび上がってより魅力的な舞台となった。

ヒロインのキトリ役には、古典からドラマティック・バレエ、そして現代作品までレパートリーを広げて進化を続ける日本人プリンシパルの高田茜。ボリショイ・アカデミー出身でクラシック・バレエは得意中の得意の彼女が見せる、グラン・フェッテやスピードと柔軟性が求められるカスタネットのソロは大きな見所だ。夢の場面ではドルシネア姫役も踊り、キトリとは対照的な優雅さと、ひときわ高く美しい跳躍も見せてくれる。バジル役には、陽気なキャラクターが役にぴったりのアレクサンダー・キャンベル。男性ダンサーの魅力が詰まったこの役で、華麗な超絶技巧の数々を見せるとともに、コミカルな演技で作品を引っ張る。
なお、今年の6月のロイヤル・バレエの来日公演で、この『ドン・キホーテ』は上演される予定である。また、振付を担当したカルロス・アコスタは、2020年1月よりバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督に就任されることが発表された。

<あらすじ>
老紳士ドン・キホーテは、読みふけっていた本に登場する美しい姫ドルシネアを夢に見て恋をする。ドルシネア姫との出会いを夢見て、従者サンチョ・パンサを引き連れて騎士を気どり冒険の旅に出る。
陽光あふれるバルセロナの街角。町娘キトリは床屋のバジルと恋仲だが、父ロレンツォは娘を金持ちの貴族ガマーシュに嫁がせようと目論み、二人の仲には反対だ。街にドン・キホーテとサンチョ・パンサが現れ、キトリこそ夢の姫君ドルシネアだと思いこむ。
恋人たちはジプシーの野営地に逃げ込む。そして再びドン・キホーテの夢の中、ドルシネア姫、キューピッド、そして森の女王や妖精たちが踊り、甘美なひと時が過ぎて行く。
キトリとバジルは街の居酒屋で友人たちと祝杯を上げようとするが、そこにはロレンツォやガマーシュも待ち構えていた。バジルは、結婚を許さないなら死んでやると狂言自殺をし、ドン・キホーテに説得されたロレンツォは二人の結婚を認める。そして二人の結婚式が華やかに行われる。恋人たちの仲を取り持ったドン・キホーテはサンチョ・パンサを引き連れ、再びドルシネア姫を追って次の冒険へと旅立つ。

【原版振付】 マリウス・プティパ
【演出・追加振付】 カルロス・アコスタ
【音楽】 レオン・ミンクス
【指揮】 マーティン・イエーツ
【出演】 ドン・キホーテ:クリストファー・サウンダーズ
サンチョ・パンサ:フィリップ・モーズリー
キトリ:高田茜
バジル:アレクサンダー・キャンベル
エスパーダ:ヴァレンティノ・ズケッティ
メルセデス:マヤラ・マグリ
キトリの友人:崔由姫、ベアトリス・スティクス=ブルネル
キューピッド:アナ・ローズ・オサリヴァン
ドルシネア:ララ・ターク
ドリアードの女王:金子扶生
ロレンツォ(キトリの父):ギャリー・エイヴィス
ガマーシュ:トーマス・ホワイトヘッド