ロイヤル・バレエ
コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕
Concerto / Enigma Variations / Raymonda Act III
ロイヤル・バレエ
コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕
Concerto / Enigma Variations / Raymonda Act III
シネマシーズン バレエ作品のトップ演目は、華麗なクラシック・バレエ『ライモンダ』から音楽との融合が見事な『コンチェルト』、そして暖かい友情と物語性に満ちた『エニグマ・ヴァリエーション』と英国ロイヤル・バレエ団の魅力を一度に味わえる3作品のトリプル・ビル。
『コンチェルト』は、ドミトリー・ショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲2番に乗せたマクミラン振付による作品。闊達な第1楽章、バーレッスンを模したパ・ド・ドゥが比類なき美しさを見せるゆっくりとした第2楽章、そして第1、第2楽章のソリストにコール・ド・バレエを加えて楽譜の上を走り回るような第3楽章。全編に渡るダンサーたちの見事な音楽性と目を見張るダイナミックな技巧もさることながら、ヤスミン・ナグディと平野亮一による第2楽章の甘美な抒情性は観る者を惹きつけてやまない。
『エニグマ・ヴァリエーション』は、作曲家エルガーが「エニグマ・ヴァリエーション」(エニグマ変奏曲)を作曲した時のドラマを、彼を取り巻く人々の友情を中心に描いた作品。まだ知名度も低く自信喪失気味のエルガーが、著名な指揮者からの電報を不安気に待つ間、妻や友人たちが集まって彼を励ます。アシュトン特有の技巧を凝らしたステップで登場人物それぞれの個性が描かれていて観る者を飽きさせない。マシュー・ボールが踊る超絶技巧が凝らされたトロイトのヴァリエーション、名曲「ニムロッド」、フランチェスカ・ヘイワードが踊る吃音のある少女ドラベラの愛らしいソロ、アクリ瑠嘉による犬になってしまった男シンクレアのユーモラスなソロなど見所は枚挙にいとまがない。
『ライモンダ』はマリウス・プティパによるロシア・クラシック・バレエの粋を集めた古典絵巻を、ルドルフ・ヌレエフが再振付した壮麗な作品。第3幕は、貴族のライモンダと、十字軍から帰ってきて恋のライバルを倒した騎士ジャン・ド・ブリエンヌの結婚式。ハンガリー民族舞踊風のチャルダッシュと、華麗なグラン・パ・クラシック、6つものヴァリエーションで彩られゴージャスなことこの上ない。金子扶生が踊る軽やかなピチカートのソロ、当代トップダンサーのふたり、ワディム・ムンタギロフのエレガントかつ鮮やかな踊り、女王の風格たっぷりで強靭なナタリア・オシポワによる有名なソロと見せ場が満載。異国情緒漂うグラズノフの美しい音楽、ダンサーたちが舞台を埋め尽くすフィナーレと、バレエの華やかさ、高揚感を存分に堪能できる。