ロイヤル・オペラ

ラ・ボエーム

La bohème

ロイヤル・オペラ

ラ・ボエーム

La bohème

誰もが忘れられない青春の歌。活気にあふれた19世紀のパリを舞台に、若者たちの愛と死を描くプッチーニの傑作《ラ・ボエーム》

「冷たき手を」「私の名はミミ」「私が街を歩けば」「さらば古外套よ」など、オペラを愛する人なら誰でも聴いたことがある名アリアの数々。ミュージカル『レント』の原作としても知られている《ラ・ボエーム》は、初めてオペラを観る人にも真っ先に薦めたい作品だ。プッチーニの旋律はなぜこんなにも人の心を捉え、揺さぶるのだろうか?誰もが一度は若者だった。そして将来の夢をかなえようと葛藤していたはずだ。プッチーニ自身の人生も投影されている若き芸術家たちの物語は、観客の胸を熱くさせる。

英国ロイヤル・オペラで40年以上ものあいだ上演されてきた伝統的な《ラ・ボエーム》の舞台が新しくなったのは2017年のこと。リチャード・ジョーンズの演出は、よりモダンでシンプルな舞台装置と、細部に凝った演技が特徴だ。特に映像ではその良さが堪能できるだろう。第1幕の屋根裏部屋のグレーを基調にした色彩から、第2幕のパリの華やかなクリスマス・イヴへの変化も見事。ヒロインのミミにはスター歌手ソニア・ヨンチェヴァが出演、リリックな声と情熱的な歌唱で涙を誘う。詩人ロドルフォは容姿と声のバランスがとれたテノール、チャールズ・カルトロノボが出演。他にもムゼッタのシモーナ・ミハイ、マルチェッロのアンジイ・フィロニチックを始めとする若々しいキャストが出演。指揮のエマニュエル・ヴィヨームはプッチーニの書いたオーケストラの色彩を引き出し高い評価を得た。更に英国ロイヤル・オペラの合唱団は歌も達者だが、各々が役者としても秀逸で、第2幕における彼らの活躍も見逃せない。

PHOTO&MOVIE

STORY

19世紀、パリ。貧しいけれど夢にあふれた4人の若き芸術家たちは屋根裏部屋で共同生活をしている。クリスマス・イヴを祝うため皆はカルチェ・ラタンにくりだすことにするが、詩人のロドルフォは仕事を終えるため独り部屋に残る。そこにお針子ミミが消えてしまったロウソクの火を借りにきて、2人は恋に落ちる。画家のマルチェッロもカフェ・モミュスで再会したかつての恋人ムゼッタとよりを戻す。だが幸せな時は続かなかった。貧しさゆえに病気が悪化するミミを心配するロドルフォに、ミミは別れを告げる決心をするが…。

【作曲】 プッチーニ
【演出】 リチャード・ジョーンズ
【指揮】 エマニュエル・ヴィヨーム
【出演】 ミミ:ソニア・ヨンチェヴァ
ロドルフォ:チャールズ・カストロノボ
ムゼッタ:シモーナ・ミハイ
マルチェッロ:アンジイ・フィロニチック 他
【上映時間】 2時間54分