眠れる森の美女

The Sleeping Beauty

振付:ルドルフ・ヌレエフ

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INTRODUCTION

若手エトワールのブルーエン・バティストーニとギヨーム・ディオップが主演!
高難度でドラマティックに表現されたルドルフ・ヌレエフ版『眠れる森の美女』

『白鳥の湖』『くるみ割り人形』と並ぶチャイコフスキーの三大バレエの一つであり、壮麗でスケールの大きなグランド・バレエとして他の追随を許さない古典バレエの傑作が『眠れる森の美女』です。今回はパリ・オペラ座バレエの今を象徴する美しき若手エトワールの二人、ブルーエン・バティストーニと、ギヨーム・ディオップ(パリ五輪の開会式で踊って注目)が主演します。

『眠れる森の美女』は1890年にサンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で初演。作曲家チャイコフスキーと振付家マリウス・プティパが緊密に連携して創り上げました。ルドルフ・ヌレエフはロシア・バレエの栄光を象徴するこの究極の大作に取り組み、1966年にミラノ・スカラ座バレエのために自身の版を創作。その後も世界各地のバレエ団で少しずつ変更を加えながら上演して、パリ・オペラ座バレエで1989年に5回目の再構築を行いました。

ロココ時代のフランス宮廷の栄華を舞台上に再現し贅を尽くしたゴージャスな舞台美術とパステルカラーの繊細な色使いが美しい衣裳の数々、大人数のダンサーが舞台を埋め尽くす究極のクラシック・バレエ作品です。

ヌレエフ自身が誇った高度な技術を最大限に見せるために、王子の踊りが通常踊られている版よりもふんだんにあるのが大きな特徴です。特に2幕では、まだ見ぬオーロラとの愛を求める想いと王子の憂いを込めた、ヴァイオリン・ソロに合わせた長くロマンティックで高難度のソロが印象的です。パリ・オペラ座初の黒人エトワールとして大きな話題を呼び、長く美しい脚と少年の面影を残した甘いマスクのギヨーム・ディオップが、しなやかで端正に、そして鮮やかかつドラマティックに踊ります。善と悪という世界の二元性を象徴するリラの精と悪の精カラボスは、踊らない役で両方とも女性ダンサーが踊り、作品の演劇性を高めます。

1幕でのオーロラ姫の16歳の誕生日に4人の求婚者たちに出会う“ローズ・アダージオ”はバレリーナにとっては挑戦となる名場面です。パリ・オペラ座バレエでは最も若い女性エトワールの新星ブルーエン・バティストーニは、初々しく緊張感あふれる難しいバランスを決めて、フランス流派の優雅さと共に少女の生き生きとした闊達さも見せてくれます。

プロローグの妖精たちのヴァリエーションには、期待の若手からオーロラ役も踊っている経験豊富なダンサーまで、オペラ座の中でも選りすぐられたダンサーたちが抜擢されています。日本出身のエリザベス・パティントン正子や、日本にルーツがあるクララ・ムーセーニュの活躍も嬉しい。2幕の幻影のシーンのコール・ド・バレエは、世界最高峰のパリ・オペラ座バレエならではの息を呑むような幻想的な美しさです。

100年を経てオーロラが目覚めたのちの3幕の結婚式では、おとぎ話の登場人物たちがお祝いに駆けつけて楽しいディヴェルティスマンを披露。ローザンヌ国際コンクールで1位に輝き、ミュンヘン・バレエのファーストソリストを経て昨年パリ・オペラ座に移籍したシェール・ワグマンは、空を飛んでいるような驚異的な跳躍力と足捌きで青い鳥を踊って大評判となり、エトワール最短距離にいると目される若手イネス・マッキントッシュのフロリナ王女の軽やかな可憐さも見どころの一つです。フランス王室を象徴する、華麗そのもののオーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥで多幸感は頂点に達します。

善と悪との対決、デジレ王子の成長物語なども語られ、単なるおとぎ話ではない深遠なドラマ性を感じさせるのが、パリ・オペラ座バレエの『眠れる森の美女』。目が眩むばかりのゴージャスなバレエの極美の世界、衣裳や美術などの細かいところまでよく見える映画館の大スクリーンでぜひ陶酔してください。(文/森菜穂美(舞踏評論家))


(2025年4月10日 オペラ・バスティーユにて収録/上映時間:2時間46分)



音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ルドルフ・ヌレエフ
(台本:シャルル・ペロー、原振付:マリウス・プティパに基づく)
指揮:ヴェロ・ペーン
舞台美術:エツィオ・フリジェリオ
衣裳デザイン:フランカ・スカルシャピノ
照明デザイン:ヴィニチオ・チェリ
映像監督:ジュリアン・コンデミーヌ
映像共同制作:パリ・オペラ座、テルモンディ



【プログラム】
上映時間:2時間46分
※休憩時間はございません。予めご了承くださいませ。

●プロローグ:36分
オーロラ姫の洗礼式が祝われている。善い妖精たちが贈り物を捧げ、王女にはあらゆる幸福が約束される。しかし突然邪悪な魔女カラボスが現れ、自分が祝宴に招かれなかったことに激怒する。執事がうっかり招待リストから外してしまったのだ。怒りに燃えたカラボスは恐ろしい予言を告げる──成長したオーロラは糸紡ぎで指を刺し、命を落とすだろう、と。しかしまだ贈り物をしていなかったリラの精がその呪いを和らげる。王女は死ぬのではなく、100年の眠りにつくだけだ、と。

●第1幕:37分
オーロラ姫の16歳の誕生日。4人の王子たちが彼女に求婚するためにやってきた。その最中、突如現れた老婆から差し出された花束を受け取ったオーロラは、そこに隠されていた糸紡ぎで指を刺してしまい意識を失ってしまう。実はその老婆はカラボスで、洗礼式でかけられた呪い通りになってしまったのだ。しかし、そこにリラの精が現れる。オーロラを100年の眠りにつく場所へと導き、宮殿全体も深い眠りへと包み込むだった。

●第2幕:43分
狩りの宴の最中、デジレ王子は魅力的な伯爵夫人や遊びや娯楽にも心を動かされず、物思いにふけっていた。森の奥深くに分け入った王子の前にリラの精が現れ、オーロラの姿を映し出す。王子はたちまち恋に落ちその幻影と踊るが、やがてそれは消えてしまう。リラの精は姫を探しに行こうと王子を導き、やがて二人は眠れる城にたどり着く。

●第3幕:44分
城ではオーロラ姫とデジレ王子の結婚式が華やかに催される。青い鳥とフロリナ姫、長靴をはいた猫と白猫といったおとぎ話の登場人物たちが駆けつけ踊りを披露する。かくして二人はすべての人々から祝福され永遠に結ばれる。

●カーテンコール/エンドクレジット:6分

CAST

  • ブルーエン・バティストーニ

  • ギヨーム・ディオップ

  • シェール・ワグマン

  • イネス・マッキントッシュ

  • ファニー・ゴルス

  • サラ・コラ・ダヤノヴァ

  • アリス・カトネ

  • パティントン・エリザベス・正子

  • オルタンス・ミエ=モーラン

  • カミーユ・ボン

  • エレオノール・ゲリノー

  • エロイーズ・ブルドン

  • クララ・ムーセーニュ

  • アルテュス・ラヴォ―

  • イザック・ロペス・ゴメス

  • セリア・ドルゥーイ

  • アンドレア・サーリ

  • セホー・ユン

  • ケイタ・ベラリ

  • レオ・ド・ビュスロル

  • フロリモン・ロリュー

オーロラ姫:ブルーエン・バティストーニ

デジレ王子:ギヨーム・ディオップ

青い鳥:シェール・ワグマン

フロリナ姫:イネス・マッキントッシュ

リラの精:ファニー・ゴルス

カラボス:サラ・コラ・ダヤノヴァ

第1ヴァリエーション:アリス・カトネ

第2ヴァリエーション:パティントン・エリザベス・正子、オルタンス・ミエ=モーラン

第3ヴァリエーション:カミーユ・ボン

第4ヴァリエーション:エレオノール・ゲリノー

第5ヴァリエ―ション:クララ・ムーセーニュ

第6ヴァリエーション:エロイーズ・ブルドン

公爵:アルテュス・ラヴォー

白猫:エレオノール・ゲリノー

長靴を履いた猫:イザック・ロペス・ゴメス

パ・ド・サンク:セリア・ドルゥーイ、アンドレア・サーリ、クララ・ムーセーニュ、セホー・ユン、カミーユ・ボン

4人の王子:アルテュス・ラヴォ―、ケイタ・ベラリ、レオ・ド・ビュスロル、フロリモン・ロリュー

THEATER

地域 劇場名 上映期間
北海道 札幌シネマフロンティア 2025/08/22(金)~
宮城 フォーラム仙台 2025/08/22(金)~
千葉 TOHOシネマズ 流山おおたかの森 2025/08/22(金)~
埼玉 ユナイテッド・シネマ浦和 2025/08/22(金)~
東京 TOHOシネマズ 日本橋 2025/08/22(金)~
東京 イオンシアタス調布 2025/08/22(金)~
神奈川 TOHOシネマズ ららぽーと横浜 2025/08/22(金)~
愛知 ミッドランドスクエアシネマ 2025/08/22(金)~
大阪 大阪ステーションシティシネマ 2025/08/22(金)~
京都 イオンシネマ京都桂川 2025/08/22(金)~
兵庫 TOHOシネマズ 西宮OS 2025/08/22(金)~
福岡 kino cinéma 天神 2025/08/22(金)~

※上映時間について、公開日が近づきましたら上映劇場へ直接お問い合わせ下さい。

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